別居中の離婚成立までの婚姻費用において年金収入をどのように考えるか
別居中の離婚成立までの間の生活費である婚姻費用を算定するにあたっては、
夫婦双方の年収、子の数、年齢等が影響することはご存じの方も多いかと思われます。
それでは、年金受給資格を有しているものの、受給時期を遅らせると、受給できる年金額が増える事との
関係で、年金を受給していない場合に、仮に受給していた場合にもらえた収入で考えるのか、受給していない以上、
収入と見ないのかについては、どのように考えるべきでしょうか。
この点、東京高等裁判所令和1年12月19日決定では、
前者の通り考え、「65歳で年金の受給を開始していれば年額約250万円の年金を受給することができたと
認められる」として、「少なくとも(定年退職後の)再雇用の期間が満了して相手方が無職となった・・・以降は
上記の年金収入を給与収入に換算した約390万円・・・について、相手方が本来であれば得ることができた
収入として、婚姻費用の分担額の算定の基礎とするのが相当である。」と判示しました。
この事件では、年金受給時期は任意に選択できるものであって、婚姻費用の分担額を減らすために受給していない訳ではない
旨も主張されていましたが、「同居する夫婦の間では、年金収入はその共同生活の糧とするのが通常であることからすると、
これを相手方の独自の判断で受給しないこととしたからといって、その収入がないものとして婚姻費用の算定をするのは
相当とはいえない。」としました。
上記のとおり、他に収入がある場合には別ですが、年金収入しか考えられない場合には、受給時期を遅らせていたとしても
収入として考えるとした事例と言えます。
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