離婚成立までの間に、夫婦の他方に自宅建物の明渡を求めることができるか|弁護士ブログ|離婚相談・離婚調停のお悩みは姫路市の城陽法律事務所へ

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2020年06月01日

離婚成立までの間に、夫婦の他方に自宅建物の明渡を求めることができるか

離婚の協議や調停等を行っている間、夫婦が同居している場合、別居している場合のどちらも

あるかと思われます。この場合に、不動産を売却したい、あるいは自分だけで住みたいと考えて、

離婚成立の前の段階から、夫婦の他方配偶者に明渡を求めることができるのでしょうか。

 

この点、不動産が夫婦の共有名義となっている場合、共有持分を双方が持っている以上、権原がある事となり、

離婚時の財産分与で不動産を単独取得する等しない限り、明渡を求めることができないことは

明らかです。

 

では、不動産がどちらか一方の単独名義である場合に、所有者である配偶者の一方が、

他方に対して、明渡を求めることが出来るのでしょうか。

 

この点、夫婦は同居義務や相互に協力して扶助する義務を負っています(民法752条)。

このため、裁判例は、「夫婦が夫婦共同生活の場所を定めた場合において、その場所が

夫婦の一方の所有する建物であるときは、他方は、その行使が権利の濫用に該当するような特段の

事情がない限り、同建物に居住する権限を有すると解するべきである。」としています(東京地裁判決平成30年7月13日など)。

権利の濫用と言うには、単に婚姻関係が破綻しているというだけでなく、別居に至る原因や有責性、

別居後の状況などを勘案する必要があると考えられています。

 

そして、例えば、不動産が配偶者の一方と、その親で共有名義となっている場合などでも、

最高裁昭和63年5月20日判決は、「第三者の占有使用を承認しなかった共有者が第三者に対し、

当然には共有物の明渡を請求することはできない」としているため、例えば親が了承していない場合でも(実際には、了承していたと

評価できるケースが多いかと思われますが)、明渡を請求できないとの結論になりやすいものと思われます。

 

結局、不動産については、離婚成立時の財産分与において、どちらが所有するのか等を決める必要がある事が

多いと言えます。

 

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