相手方から約束通り支払を受けられない場合の措置について
離婚時には、財産分与、慰謝料、養育費などさまざまな支払について
取り決めがなされます。
この点、協議離婚や調停離婚の場合で、合意成立時に同時に財産分与等金銭の支払を受ける場合、
支払を受けられなくなるリスクを考える必要は少ないこととなりますが、財産分与や慰謝料等がある程度
まとまった金額となる場合、合意成立時から1か月以内に支払うなどの条件となることが多いです。
また、養育費については、特段の合意がないかぎり、原則として月々支払われるものです。
更に、訴訟で離婚が成立する裁判離婚の場合、判決で財産分与や慰謝料の支払が命じられたとしても、
その支払を相手方が任意に行ってくれない可能性もでてきます。
このような場合に、強制執行の申立を検討する事となりますが、差し押さえるべき債権や不動産などについては、
申立人において特定する必要があります。しかし、相手方の財産の所在を必ずしもつかめていない場合や、
相手方が財産を移転してしまった場合、あるいは仕事を辞めてしまい勤務先が不明である場合などに、何を差し押さえたらよいのか
分からないという事態が発生し得ます。
このような不都合を避けるため、従前から財産開示制度が存在しましたが、相手方に裁判所に出頭させて、
相手方に陳述させる内容のものであり、真実を述べるか分からないとの問題が指摘されていました。
そこで、民事執行法の改正が令和元年に行われ、令和2年4月1日より、施行されることとなりました。
具体的には、従前からある財産開示手続については、罰則が設けられ、制度の実効性を上げる狙いがあります。
また、新たに、「第三者からの情報取得手続」が設けられました。
金銭的な支払を内容とする判決や調停等の債務名義(執行力を有するもの)が存在する場合等に、
裁判所に申立を行うことで、金融機関や法務局、証券会社、年金機構などに、預貯金や株式の存在(支店、口座番号、名義、金額等)、
勤務先がどこであるか(正確には給料の支払を行っているのがどこか)や、本人名義の不動産の所在地、地番等の情報の照会を行ってもらい、回答をもらうことが可能です。
ただし、預貯金等以外の勤務先や不動産については、最初から情報取得手続を行うことはできず、まず、上記の従前通りの財産開示手続を行い、これにより強制執行を行ったものの、
回収ができなかった事が要件となります。
また、勤務先については、離婚までの間の別居中の政活費である婚姻費用や、離婚後の養育費等や
生命、身体の侵害による損害賠償請求権を債権とする場合に限ります。
また、確定判決等が存在する場合、従来より金融機関によっては、弁護士が弁護士会を通じて金融機関に照会をかけると、
照会に応じてくれることがあります(23条照会)。
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