離婚時の財産分与でよくある誤解2
離婚の際には、財産分与について取り決めを行うことが多く、
離婚の条件として財産分与が整わないと離婚自体も成立させないという事が多いことから、
離婚自体に争いがないケースにおいては、一番大きな争点となることが多いです。
財産分与でよくある誤解として、「財産分与は、夫婦の実質的共有財産を対象として
価値を算定する」との文脈の理解が挙げられます。
時々、「まだ離婚が成立していないにもかかわらず、名義が相手方であることをいいことに、
夫婦の実質的共有財産である○○を勝手に売却されてしまったから、不法行為が成立する」
あるいは、「離婚未成立の間に、相手方名義の財産を了承を得ずに売却したが、夫婦の実質的共有財産なのであるから、
不法行為は成立しない」
などの主張を見受けます。
しかし、ここで注意が必要なのは、日本は、夫婦別産制を採用しているという点です。
すなわち、夫婦の各人の名義のものは、各人がそれぞれ単独で所有しており、共有状態ではないという事です。
また、財産分与請求権は、離婚して初めて発生するものでもあります。
従って、ご自身の名義で(単なる名義借りの場合は別です。)、ご自身が管理しているものは、配偶者の了解を得ることなく、
離婚成立前に第三者に売却しても、その事だけで不法行為が成立するという事にはならないものと考えられます。
(ただし、財産分与の基準時後に売却して代金を使ったら、財産分与を免れるという訳ではなく、基準時に存在した
財産を前提に財産分与を行う義務を負うこととなります。)
逆に、配偶者名義のもので、かつ、管理を任されていないものを配偶者の了解を得ずに解約や売却などをすると、
不法行為あるいは不当利得返還の問題が生じ得ます。
財産分与請求権の根拠を「実質的」共有財産とわざわざ説明し、「共有財産」とは言っていない点に注意が必要です。
弁護士でも時々、間違った主張をされているケースが見られるところです。
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