離婚調停に提出すべき証拠-66 婚姻費用・養育費における塾代の加算
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚調停等に付随して、婚姻費用分担や養育費を求める際に、お子様に塾代がかかっている場合について
考えます。
婚姻費用や養育費を算定するに際しては、夫婦双方の収入、お子様の数、年齢に基づき、いわゆる算定表を用いて
金額を決めることが裁判実務上多いことや、算定表に考慮されていない費用については、特別の経費として加算を
求めることができる場合があることは、ご存知の方も多いかと思われます。
この点、大学進学費用等ではなく、塾代の場合、仮に元々、相手方が通塾を了承していたとしても、
当然に加算が認められる訳ではない、等と説明されることがあります。
しかし、この立場を採る場合でも、高校3年生であり、大学受験のための通塾である場合は、加算を認める立場の方が強いように思われます。
また、高校3年生でなければ、通塾による加算が一切認められない、とするのも誤りであるように思われます。
当職がご依頼を受けた婚姻費用分担請求事件では、調停が不成立となったことから、審判に移行し、1審(東京家裁)の審判に対しても
相手方が抗告を行ったことから、2審の審判(東京高裁)が出て確定した事件がございます。
1審は、通塾に対する相手方の同意の有無について特に触れることなく、高校3年生ではない高校生、中学生の塾代、公文の費用について
半額を婚姻費用の基本月額とは別に負担すべき旨、判示しています。
2審も、「(相手方の)収入水準を考慮すれば、使途及び金額の点からみて相当な支出であるということができる」として、
1審の結論を維持しています。
この事案は、相手方の収入が年1400万円以上と高額である事案でしたが、このように、相手方の収入がある程度高額である場合には、
相手方の同意の有無にかかわらず、また、高校3年生と特に通塾の必要性が高いか否かにかかわらず、塾代の加算(しかも、上記審判例は、複数の通塾であっても、
金額が相当であれば、1つだけに限定していません。)が認められる可能性があると言えます。
なお、算定表においては、お子様の年齢の応じて、公立高校または公立中学の統計上の年間標準学費が考慮済みとなっていますが、
2審は「塾の費用は、改定標準算定方式における学校教育費含まれるものではなく」と判示し、仮に加算を認めたとしても、上記標準学費を上回る部分に限定されるはずである、
とする相手方の主張を排斥している点にも特徴があります。
以上からすると、通塾による加算を求める際には、年間の塾代の資料、相手方の収入の資料、ある場合は、相手方が通塾を同意していたことを示す資料(メールや、
相手方管理の通帳から継続して塾代の引落がなされていることがわかる通帳の写し等)を証拠として提出することが考えられます。
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