離婚調停に提出すべき証拠-59 財産分与・ペット及び飼育費
離婚調停、訴訟等に提出すべき証拠を考えます。
今回は、離婚に付随して、財産分与の請求がなされる場合で、夫婦財産の中に
ペットが存在する場合について考えます。
犬などのペットも、民法上は「動産」に当たり、財産権の対象となります。
他方で、財産分与の対象となる財産は、基本的には価値のある財産が対象となると
考えられています。
この点、ペットについては、売却が困難であることから、時価が存在せず、経済的には無価値と判断されることが
多いかと思われます。
夫婦が離婚するに際し、夫婦で飼っていたペットについて、いずれかから取得希望が出て、他方に異存がない場合は
これに依ることとなりますが、双方、取得を希望しなかったり、やむを得ず取得するという場合もあるかと思われます。
このような場合、ペットを取得する側としては、財産を取得したというよりは、負担を押しつけられたと感じる事になり、
不公平感を感じることとなります。
この点、近時の裁判例として、福岡家裁久留米支部令和2年9月24日判決は、「ペットは無価値であるから、離婚時の財産分与の
対象財産とはならない」との主張を排斥し、ペットを夫婦の共有とした上で、財産分与の扶養的要素を考慮し、定期金として、
月々、飼育費用の一部の支払を命じています(飼育費用として、月々のペット代の他、ペットを飼うために賃借を余儀なくされた
(当該事案は、犬3匹を一方が飼育することとなる事案でした。)家の賃料の一部が計上され、これを割合的に一部、ペットを飼育しない側に
負担させるものです。)。
当該裁判例は、一事例であるため、他に一般化できるかは不透明ですが、双方がペットの取得を積極的には希望しない事案について、
公平な負担の実現を図ったものであり、バランスを図った裁判例と評価でき、これに基づいた主張、立証を行うことが考えられます。
そこで、餌代の月平均額のわかるレシート等や、犬を飼うために特に大きいアパートを借りている等の事情がある場合には、
間取りや賃料額の分かる資料を証拠として提出し、一定の負担を行うべき旨、主張することが考えられます。
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