離婚調停に提出すべき証拠-54 財産分与・退職金で退職の時期が近い場合
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚調停や訴訟において、財産分与を求める場合で、対象財産に退職金があり、
その退職の時期が比較的、離婚時から近い場合について考えます。
前提として、財産分与の対象に退職金自体が含まれる必要があります。
この点は、定年退職の時期が比較的、近い場合は、どの考え方を採っても、支払の蓋然性が高いものと
考えて、財産分与の対象に含まれるとの結論になるかと思われます。
問題は、その場合の金額をいくらと見るべきかについてです。
定年退職の時期が相当先である場合は、財産分与の基準時(通常は、離婚調停等を申し立てた時点や離婚に向けた別居を開始した時期と
なることが多いです。)に、仮に自己都合退職した場合の金額で考えるのが実務の通例です。
対して、定年退職の時期が比較的近い場合についてはどうでしょうか。
自己都合退職した場合の退職金額は、定年退職した場合の退職金額よりも相当、割り引かれるのが通常です。
一方で、定年退職の時期が近いのであれば、定年退職する蓋然性の方が高く、より高額な退職金を得る蓋然性が高いと言えます。
にもかかわらず、定年退職の時期が近い場合でも、自己都合退職した場合の金額で考えるのは不合理と言えます。
そこで、定年退職が比較的近い場合(概ね、基準時から5年程度以内の場合)には、自己都合退職した場合の金額ではなく、
定年退職した場合の金額から、定年時までの年数に対応するライプニッツ係数による中間利息を控除した金額を計上すべき旨、
主張する場合が考えられます(新日本法規刊、武藤裕一、野口英一郎共著「離婚事件における家庭裁判所の判断基準と弁護士の留意点」P215~216。)。
この場合、相手方に、勤務先発行にかかる定年退職時の退職金額の証明書ないし退職金の具体的計算方法の記載のある退職金規程及びこれに基づく
具体的計算方法の示された人事担当とのメール等の提出を求め、証拠として提出することが考えられます。
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