離婚調停に提出すべき証拠-㊻財産分与・婚姻前に有していた財産の使い込み
離婚調停、訴訟等に提出すべき証拠を解説いたします。 今回は、離婚調停、訴訟等に付随して、財産分与を求める場合で、夫婦の一方が婚姻前に有していた 預金、持参金等の特有財産を、婚姻中に他方が無断で使い込んだ場合について考えます。 離婚時の財産分与は、夫婦で築き上げた財産を離婚に際して精算するものです。 これに対し、婚姻前から有していた特有財産である持参金等を、無断で使いこんだ場合、 夫婦の共有財産ではないのであるから、財産分与では調整できないのではないか、という問題が生じます。 家事事件としての離婚調停、訴訟ではなく、民事事件としての不当利得返還請求訴訟等で解決すべきではないか、 が問題となります。 この点は、事実上、別途、民事訴訟等で解決することは困難であるから、離婚時の財産分与において 精算できると考えるべきであるとの説もありますが、理論的に困難と考える説が有力とされています。 ただし、考慮するとすれば、財産分与の「一切の事情」として捉えて、調整を図るほかないとの立場も 示されていることから、離婚調停においては、婚姻前から有していた持参金等の使い込みを主張、立証することが 考えられます。使い込まれた財産の資料(預貯金等の通帳、引出等がなされた年月日がわかるもの、当時からこれを問題にし、 返還等を求めていたことが分かるメール等)を提出するとよいかと思われます。 なお、上記の通り、財産分与において調整は難しいとの立場が有力であり、仮に行う場合でも、「一切の事情」として考慮する、 というプラスαの位置づけですので、離婚訴訟にまで至った場合に、裁判官が調整を認めてくれるか、認めるとして、どの程度認めるかは 不透明と言わざるを得ず、離婚調停の段階で解決を図る必要が高く(決裂した場合のリスクを考え、一定の妥協を示すことも選択肢として考える必要があるかと 思われます。)、決裂した場合は、別途、民事訴訟を起こす事も検討せざるを得なくなる点に注意が必要です。 離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。 豊富な解決実績に基づき、お客様と一緒によりよい解決方法を考えます。