離婚調停に提出すべき証拠-㉜財産分与・配偶者以外の者の名義となっている財産
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚に付随して、財産分与を請求する場合で、対象財産として、配偶者以外の者の名義の財産を
主張する場合について考えます。
離婚の際の財産分与の対象となる財産は、夫婦で形成してきた財産です。
この点、夫婦で形成してきたものの、名義が第三者名義となっている場合があります。
例えば、配偶者の親が経営する個人事業に、夫婦が揃って家業として従事していた場合、
配偶者が給料をもらっている事もありますが、他方の配偶者は、無給で働いているという事があります。
このような場合、無給で働いた事によって、配偶者の親の財産が増加した場合、離婚に際し、無給で働いた者が、
配偶者の親に対して、直接的に何らかの請求を行うことは困難です。
しかし、仮に親が死亡し、相続が発生した場合、
相続人の寄与分として考慮される可能性があり、離婚時の財産分与において「一切の事情」の1つとして、
ある程度の額を財産分与の対象財産に加算することが考えられるとされています(新日本法規刊、松本哲泓著「離婚に伴う財産分与-裁判官の視点にみる
分与の実務-P155)。
また、名義が法人の場合に、実質的な夫婦共有財産を法人名義としたことが明確な場合には、離婚の際の算定の基礎となる分与対象財産に
これを算入しうるとの見解も示されています(同上)。
そこで、離婚調停において、第三者名義となっている実質的な夫婦共有財産の存在を示すため、
当該家業に従事していた事や、具体的な役割、年数、給与の有無、金額の程度、家業の規模(従業員数)、
これによって増加した財産等を、陳述書や給与明細、登記簿謄本(法人の場合)、確定申告書の控えないし決算書等を
提出し、主張、立証することが考えられます。
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