離婚調停に提出すべき証拠-㉘婚姻費用・相手方による預金等の引き出し
離婚調停に提出すべき証拠を今回も解説いたします。
ここでは、離婚調停に合わせて、婚姻費用分担調停を申し立てた際に、
別居に際して相手方が預金等を引き出した場合について解説いたします。
別居以降に相手方が、当方の預金から引き出しを行った場合等は、当方の預金から
相手方の携帯利用料などが引き落とされた場合と同様、婚姻費用の既払金に充当する事には
通常、争いはありません。
対して、別居に際して、あるいは別居以前に相手方が当方の預金から引き出しを行った場合などに、婚姻費用の既払金に
充当させることができるかについては、問題が生じます。
一般的には、別居に際してあるいはこれ以前に持ち出した夫婦共有財産があり、これを別居以降の生活費に充てた事実が
あったとしても、財産分与において調整される問題と考えられるのが実務です。
もっとも、当該財産を婚姻費用の権利者に保有させて消費可能な状態に置いたまま、更に婚姻費用の義務者に
婚姻費用の分担を命ずることが酷である場合には、婚姻費用の既払金として扱うことは可能とされています
(大阪高決昭59・12・10、大阪高決昭62・6・2、札幌高決平16・5・31など。新日本法規刊、松本哲泓著
「婚姻費用・養育費の算定-裁判官の視点にみる算定の実務-」P149)。
ただし、札幌高裁の事案は持ち出した財産が約550万円の預金であるなど、かなり高額です。100万円程度であれば、
原則通り、財産分与の問題として処理される可能性が高いかと思われます。
そこで、相手方が別居直前に引き出した事が分かる、当方名義の預金通帳ないし取引履歴を証拠として調停、審判に
提出することが考えられます。預金に限らず、投資信託や株式などを現金に換えて引き出している場合に、その履歴を
出す事も考えられます。
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