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2022年02月04日

法改正の動き-離婚調停、離婚訴訟におけるウェブ会議の利用

現在の法律では、離婚調停で、離婚を成立させるには、必ず当事者本人が

裁判所に出頭し、裁判官が本人確認をした上で、調停条項を読み上げた上で、双方当事者が

その内容で構わない旨、述べなければ、離婚調停が成立できない事となっています。

(この事は、本人が弁護士に手続代理人として委任している場合も同様であり、代理人弁護士が出頭するだけでは

足りません。)

 

これまでも、離婚調停を成立させる以外の途中の調停期日については、ウェブ会議の利用を認めたり、遠隔地で出頭が困難である場合や

新型コロナウィルスのまん延時期などに、電話会議(代理人として弁護士がついている場合は、代理人の事務所と裁判所をつなぎ、本人のみで

手続をしている場合は、本人最寄りの裁判所と、調停が係属している裁判所をつなぐ形。離婚調停は非公開の手続であるため、本人や代理人弁護士以外に

中身を聞いている人がいない事が担保されている必要があることから、本人の自宅等と繋ぐことはできません。)

 

これは、婚姻費用や財産分与、養育費などとは異なり、離婚が、婚姻関係を解消するという重大な身分行為であることから、

意思確認を慎重に行うことを理由としています。

 

しかし、新型コロナウィルスまん延に伴い、社会一般ではウェブ会議の利用が主流になっているにも

かかわらず、家庭裁判所の離婚調停について、成立には、必ず本人の出頭が必要というのは、いささか時代遅れではありますし、

利便性に欠けるように思われます。

 

この点、政府は、離婚調停において必要な意思確認の方法を、従来からの対面式だけでなく、

ウェブ会議でも可能とする形で、家事事件手続法を改正する案を、令和4年3月上旬にも通常国会に提出する予定との

報道がなされました。

 

また、離婚訴訟において、判決ではなく、訴訟上の和解により離婚を成立させる場合(和解離婚)についても、

本人が裁判所に出頭し、裁判官が直接、意思確認を行う必要が現行法上、ありますが、この点についても、人事訴訟法を改正して、

ウェブ会議で意思確認を行い、和解離婚を成立させることができるようにする方針と報道されています。

(離婚訴訟においても、遠隔地で出頭が困難な場合などに、主張や証拠を整理し争点を整理することを目的とする弁論準備手続については、

電話会議やウェブ会議の地用が現行法上も利用可能とされていますが、離婚を和解で成立させる場合には、これが利用できませんでした。)

 

なお、離婚調停や和解離婚の際にウェブ会議が現に利用できるようになるには、国会で法改正がなされた上、

施行が必要です。また、裁判所によっては、ウェブ会議システムの導入が進んでいない場合は、その整備も待つ必要があります。

その間については、現行法上も利用可能な、「調停に代わる審判」の手続の利用が考えられます(離婚訴訟の場合は、手続を裁判所が訴訟から調停に形として戻した上で

調停に代わる審判を行う事が考えられます。)。

これは、当事者間で、離婚を行うことや、親権、財産分与、養育費などの条件に争いがない場合に、裁判所が調停に代わって審判を行い、

その内容を踏まえた審判書を当事者双方に送達し、当事者双方から不服申し立てがなく2週間が経過した場合に、その時点で離婚が成立する、

というものです。調停や和解の場合、意思確認がなされたその日に離婚を成立させることが出来るのに対し、「調停に代わる審判」の場合、

2週間の不服申し立て期間があるため、その経過を待つか、当事者双方が、抗告権放棄の書面を裁判所に提出しなければ、離婚の効力が発生しないという

手間はかかりますが、例えば、遠隔地のため、出頭するだけで費用がかかるとか、相手方からDVを受けていたので、裁判所で相手方と会う可能性を避けたいという場合などに

有用です。

 

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