離婚調停に提出すべき証拠-㉓養育費・減価償却費|弁護士ブログ|離婚相談・離婚調停のお悩みは姫路市の城陽法律事務所へ

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2021年12月21日

離婚調停に提出すべき証拠-㉓養育費・減価償却費

離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。

今回は、離婚調停における養育費、あるい婚姻費用分担調停における婚姻費用において、

夫婦の一方が事業者であり、事業収入を元に養育費、婚姻費用を算定する場合に、

確定申告上、減価償却費が計上されている場合について考えます。

 

事業者の場合、確定申告上の課税所得を基本に収入を考えることとなります。

もっとも、確定申告の際には、実際には支出されていない税法上の控除が多数存在します

(例えば、扶養控除、基礎控除など)。これらの控除については、所得に加算することが必要となります。

 

では、減価償却費についてはどうでしょうか。減価償却費は、実際にはその年には支出がなされておらず、

購入した年に一括して資金が出されているものであり、扶養控除などと同様に、所得に加算する必要があるのではないか、

という問題が生じます。

 

この点は、裁判官によっても考え方が分かれるところであり、

・実際に業務に使用されているのであれば、減価償却費も経費として認めるべき

という考え方を採る方もいれば、

・現実に支出されるものではないから、婚姻費用や養育費の算定の際には、減価償却費は必要経費に

原則として含めない(=所得に加算する)が、これに対応した借入金がある場合は、減価償却費または

借入金の返済額のいずれかろ経費として認めるべき(減価償却の額が適正額である事が前提)

という考え方を採る方もいます。

 

この点については、大阪高裁平成18年6月23日決定は、

「本件確定申告の損益計算書の計算中、減価償却費51万0920円は、事業用資産の価値が時の経過により

減少していくことから、将来の上記資産の購入のために積み立てるものとして会計上認められた制度であって、

現実に支出を要するものではないから、権利者の現在の生活を保持させることを目的とする婚姻費用に優先するものとは

いえず、所得金額に加算するのが相当である。」と述べています。

 

そこで、いずれの考え方にも対応できるよう、借入金が現に存在する場合は、これを示す消費貸借契約書等の写しや通帳を

証拠として提出する事が考えられますし、物品が現に事業のために供用されている事を示すため、現に利用されている写真を

証拠として提出する事が考えられます。

 

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