離婚調停に提出すべき証拠-⑳財産分与・住宅ローンのオーバーローン性
離婚調停に提出すべき証拠をここでも解説いたします。
今回は、離婚調停や離婚訴訟において、離婚時の財産分与において住宅ローンが残っている不動産がある場合に
ついて考えます。
離婚時の財産分与において、住宅及び住宅ローンがある場合、財産目録への計上としては、
住宅を計上し、これとは別に債務として住宅ローンを計上することになります。
従って、住宅の価値を示す資料として、最低限、固定資産評価証明書(固定資産税の額を決めるに際し、
役所がつけた評価額が記載されています)の提出が必要です。
また、財産分与の基準時(離婚調停申立時または離婚に向けた別居を開始した時のどちらか早い方と考えるのが一般的)における
住宅ローンの残高証明書を債務の資料として提出する事が必要となります。
もっとも、役所のつけた評価額は簡易なものであり、実勢価格と異なることがあります。
住宅の価値がもっと高いのではないか、と考える立場からは、まずは、不動産業者の査定書を取得して提出することが
かんがえられます。
この場合、①不動産業者が仲介して、エンドユーザー(自宅購入を考える個人)に売却を図る場合と、②不動産業者が直接買い取る場合の2つで
金額は異なります。②の方が、業者は購入後、更に自宅購入を考える個人に転売して利益を出す必要がある事から、①の価格より低くなります。
もっとも、①の場合、実際にその価格で売れる保証はない事となりますが、②の場合、最低限、その価格で売れる事になる事を示すことに
なるため、交渉上、有力な資料となり得るかと思われます。
このため、不動産業者に査定書を依頼する場合は、①、②どちらの意味でお願いするのかを明らかにすると共に、業者に作成してもらう
査定書にも、①、②どちらの査定として記載されているのかを明示してもらう事を要請する必要があります。
例を用いて検討しますと、例えば、評価証明書上、不動産の価値が1800万円、住宅ローンが2000万円残っている場合に、
不動産業者が直接買い取る場合の査定として2500万円とされている査定書が存在する場合、もはやオーバーローン状態にはなく、
利益が500万円出ることとなり、住宅を取得する者が、他方配偶者に対して、500万円の半分の250万円を払う必要が出てくる、という
主張をする事が考えられます。
住宅ローン付きの住宅については、不動産の価値をどう見るかによって、離婚時の財産分与の結論が大きく変わってくるケースも
存在し、特に注意が必要です。
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