離婚調停に提出すべき証拠-⑬財産分与・特有財産(遺産相続)
離婚調停に提出すべき証拠をここでも解説いたします。
今回は、離婚調停における財産分与において、「○○の預金があるが、これは親から相続したものであり、
離婚時の財産分与の対象外である」と主張する場合について考えます。
このような主張を行う場合、まずは、いつ、誰から、いくらの財産を受け取ったのかを明らかにする必要が
あります。
亡くなられた方の除籍を取得すると、いつ亡くなられたのかを示すことができます。
また、遺産分割の結果については、遺産分割協議書や遺産分割の調停調書ないし審判書で明らかにする事が
可能です。
しかし、実際には、遺産分割がもめなかった方も多く、遺産分割協議書の作成や、調停、審判等を行っておらず、
口頭で合意した、という場合も多いと思われます。
そのような場合は、例えば、500万円の遺産分けをもらった、という場合は、その500万円が入金された時の
預金通帳や取引履歴を提出することが考えられます。ただし、亡くなられた方名義の口座から振り込まれたのではなく、
現金でもらい、入金した、という場合は難しい問題が残ります。夫婦の収入の蓄えがあり、これを入金したという可能性も残されているからです。
そこで、このような場合は、例えば、相続の時期が、結婚から間もない時期であった場合には、「結婚当時の収入は互いに○円程度であり、わずか○か月で
500万円も形成できる筈もない。」等と、当時の収入と合わせて主張立証を行うことが考えられます。
対して、相続した時期が結婚からかなり年数が経過した後の場合は、元々の亡くなられた方の預金解約の時期、金額等を解約した通帳や取引履歴等で
立証し、これと間近い時期に金銭が入金されている事を示すなど、更に立証を尽くす必要があると考えられます。
なお、相続した金銭が、夫婦の収入の入る預金に入金されていた場合は、婚姻前から持っていた預金に、婚姻後の収入が混じっている場合と
似た問題が発生し、預金全体が財産分与の対象と判断される可能性が生じる事から、相続により取得した金額と、当該預金に婚姻後に入金された
収入等の合計額を示し、割合的に按分すべき等と主張する事も考えられます。
このように、離婚時の財産分与において、特有財産の主張を行う場合には、立証をケースにより考える必要があり、
弁護士が弁護を行う必要性の1つが認められるかと考えられます。
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