離婚調停に提出すべき証拠-⑦離婚原因・ギャンブル等浪費
離婚調停において提出すべき証拠を解説いたします。
ここでは、離婚原因として相手方のギャンブル等の浪費を主張する場合に
提出すべき証拠を考えます。
離婚調停や離婚訴訟で、ギャンブルや服飾品等での浪費を主張されることは時々あります。
しかし、法律上の離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」があると評価されるには、
浪費の幅が著しく看過できないレベルである事を示す必要があります。
これは、裁判で離婚が認められる場合、一方は離婚をしたくないと述べている場合に、国家が強制的に
離婚させる事となるため、「これだけの事をしているのだから、離婚も仕方がないでしょう」と言えるだけの
客観的に明確な事情が必要であることによります。
実際、夫婦の収入をどう使うのか(あるだけ使ってしまうのか、将来のために貯蓄するのか、貯蓄するとして収入のどれくらいを
回すのかや、食費や趣味、嗜好品にどの程度使うのか等)は、家庭それぞれによって考え方が異なるところであり、この点からも、
裁判所が法律上の離婚原因として、浪費を取り上げるには、上記程度のレベルが必要と言えます。
具体的には、どれくらいの期間でどれくらいの金額が費消されたのかや夫婦の収入、財産、規模、家族構成等が問題となり得ます。
また、家計を夫婦のどちらか一方が管理を任されているという事は多いかと思われます。
このような場合、金額の規模からすると、家計に使われたとの推定が働く事案は多いです。
ただし、例えば、サラ金でどんどん借り増しをしている事が取引履歴上、明らかであり、金額としても借入れの頻度としても
不自然という場合などは、家計に使われたとの推定が及ばなくなる場合もあり、ケースによってどちらが立証を尽くさなければならないのか
分かれます。
このような浪費を示す証拠としてどのようなものが考えられるでしょうか。
まずは、預貯金から引き出しがなされている点を示すことが考えられます。もっとも、単に引き出しがなされた点しか
これでは証明できないため、その金銭が別の形で存在するのかや、費消してしまったとしても、何に使われたのかは
これだけでは不明です。このため、多数回に渡り多額の引き出しがなされている、という場合には、一旦、その使途等について
相手方に説明を求めざるを得ません。その説明内容が一応、合理的な説明であれば、裏付け証拠がなくても、概ねそのように使ったのだろう、と見られ、
その使途が家庭全体のためのものであったのであれば、浪費とは言えないと評価されることになります。
次に、クレジットカードについては、ショッピングの場合、支払先が分かるため、これを証拠として出すことが考えられます。
宝石店に対し、100万円払っていることが分かれば、通常は、100万円で何らかの宝石を買ったのだろう、という事が分かります。
あるいは、JRAや宝くじ、と表記がある場合、競馬や宝くじに使ったのだろう、という事が分かります。
また、サラ金等から借金を行っている場合は、単に現在の残高が分かるものではなく、借入、返済のこれまでの取引履歴を
取り寄せることで、どれくらいの期間の間にいくら借り入れたのかが分かります。
このように、相手方の浪費を離婚原因として主張する場合、主張、立証に工夫が必要である事が多く、
弁護士がこのような離婚事件の弁護を行う必要性の1つが認められると考えられます。
離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
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