調停期日内での注意点-②調停期日1回毎の進み方及びこれを踏まえた対応の仕方
離婚調停や離婚成立までの間の生活費である婚姻費用分担調停等を
申し立てた場合の基本について、ここでも解説いたします。
調停期日がおおよそ1か月に1回程度の割合で進むことはご存知の方も多いかと
思われます。
では、調停期日はどのように進行していくのでしょうか。
第1回調停期日の場合、まず、申立人側の申立の内容(請求の内容や理由、経緯等)について
調停委員2名が確認し、経緯等についても補足的に説明が求められることもあります。
基本的には、弁護士が代理人についている場合、弁護士が法的な観点の説明、主張を行い、
ご本人は調停委員から過去の経緯等について事実関係の説明が求められた場合に、ご自身の記憶に基づき
分かる範囲で回答すればよい事となりますが、ご本人のみで手続をされている場合は、法的な観点も含めて全てご自身で
主張、立証しなければならず、調停委員を含む公平中立の裁判所からは、このように主張したら良い、等とアドバイスを受けることが
出来ないため、複雑な内容の事件ほど、対応が難しくなるため、弁護士を代理人として立てておいた方がよい、という事が考えられます。
その後、相手方が出頭している場合は、申立人と相手方が調停室から入れ替わって(申立人、相手方それぞれ別の待合室で待機することになります。)、調停委員は
相手方から、申立人の請求に対する考え方や事実関係について確認を行います。
このように、調停では、双方の主張や請求に対する考え方の対立点がどこにあるのかをまず把握するところから
始まります。また、財産分与では双方の管理する財産の資料(預貯金の通帳や保険の解約返戻金額の証明書、不動産の固定資産評価証明書等)、
婚姻費用や養育費では双方の収入に関する資料(所得証明書や源泉徴収票、確定申告の控え等)や、特別の経費に関する資料(大学授業料の分かるパンフレット等)の
基本的な資料を双方が不足なく出し合うところから始まります。
第1回期日で調停が成立することはまず難しく、通常は、双方の対立点の把握がなされた上で、
更に反論の主張書面や証拠を次回調停期日までに出し合うという形で、次回期日までに双方、何をしなければならないのか、宿題の確認がなされた上で、
第2回期日をいつにするのかの調整を行い、第2回の期日をいつとするか決定して、第1回期日が終わります。
姫路支部では、午前10時~か午後1時30分~始まり(申立人、相手方交互に話が聞かれるため、15~30分程度、時間をずらして出頭時間が決められます。)、
2,3時間程度で1回の期日が終わるのが通常です。
このため、通常は、双方の話を2往復程度、調停委員が聞くと、時間いっぱいとなります(進行によっては、調停委員が裁判官と評議を行う場合もあり、
そうなると、更に、当事者が話ができる時間は少なくなります。)。
このため、調停期日において1から説明を口頭で行う、と言うよりは、考え方や事実経過の骨子等を主張書面として予め提出しておき、
補足的に調停委員が説明を求めるものに対して回答する、とした方が、時間の活用として有効であることが多いです(場面やテーマによっては、
あえて事前に主張書面では出さず、当日、口頭で伝えた方がよいものもあります。)。
従って、離婚調停等では、1回当たりに使える時間が決まっていることから、
・何を優先して詰めるべきなのか(例えば、離婚調停や婚姻費用分担調停など複数の調停が事実上、同じ期日で開かれているという場合に、
どちらの話を優先して進めるのかとか、離婚調停の中でも、財産分与、親権、養育費、年金分割などどの点の整理を優先するのか等)
・どのような点の回答や資料の提出を、調停委員を通じて相手方に求めるべきなのか
・主張、証拠が出そろった場合に、裁判所に解決案や考え方の提案を求めるのか、当事者において解決案を提案するのか
などを考えておく必要があります(もちろん、相手方の出方が不明であるため、当日、現場で考える部分は残ります。)。
このように見てくると、「調停は話し合いなのだから、とりあえず自分の考え方を述べておきさえすれば良い」という方針では
不利な方向に手続が進んでいく可能性がある、という事がお分かりいただけるかと思います。
この辺りに、離婚や婚姻費用、監護者指定などの調停段階から代理人として弁護士に依頼しておく有用性の1つが認められると
考えられます。
また、弁護士に依頼される場合には、離婚事件を扱った経験の程度や裁判実務の考え方の理解をどの程度、その弁護士がしているかも
重要になってくる場合があります。
離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績にもとづき、お客様と一緒によりよい解決方法をかんがえます。