調停時の注意-⑪申立書などの書き方1 簡にして要を得た記載
離婚調停や婚姻費用分担調停等を申し立てる際の
注意点をここでも解説いたします。
離婚調停や婚姻費用分担調停の場合、家庭裁判所の窓口に行くと、
複写式でチェック式の簡易な申立書の書式をもらうことができます。
しかし、この申立書は簡易なものですので、争点に対応した主張を書く部分に乏しく、
自分の考え方を述べるためには、書式を用いずに申立書を作るか、主張書面を別途作り、
その中で記載する等する必要があります。
なお、申立書に書けなかった事は、調停手続の中で、直接、調停委員に話せばよい、と考えている方も
おられるかもしれませんが、調停委員が取っているメモは調停委員の個人的なメモであって、裁判所の記録につづられる訳ではなく、
裁判官や書記官が目を通す事はありませんし、例えば、婚姻費用分担調停が不成立となった場合、婚姻費用分担審判の手続に移行し、
裁判官が結論を出すことになりますが、申立書や主張書面など書面の形で当事者が出したものしか記録につづられておらず調停委員のメモは
つづられていないため、結論に反映されないおそれがあり、適切とは言えません。
では、申立書には何を書けばよいのでしょうか。
この点、「申立の趣旨」の欄は、求める結論を様式に従って書けばよいため
(例えば、養育費として月5万円を支払う。など)、それほど困られることはないかと思いますが、
「申立の事情」の欄は、何をどの程度書けばよいのか、という事を悩まれるかと思います。
この点は、正解がある訳ではありませんが、私がこれまで裁判官と個人的に話をしてうかがったところや、
私自身、これまで多数の離婚事件を扱ってきた経験からすると、争点に大きな影響を与える事実を証拠を用いながら
簡にして要を得た形で記載する、というのが最も適切と言えます。
まず、争点に無関係な事実や経緯を長々と書いたり、調停委員に説明されたりする方もおられますが、
調停委員はこの場合、聞いてくれはするものの、ほとんどメモを書くための手を動かしていない、という事が
よくあります。調停の性質上、「関係ないから」と簡単には遮らず、ある程度は聞く、という調停委員もおられるかと
思いますが、その実は、結論に影響していないため、争点、結論に影響する事実を聞きたい、と考えていることになります。
また、評価ではなく、評価を基礎づける具体的な事実を指摘することが重要です。
「暴言があった」と主張するのではなく、「○月○日、△△△と話すと、×××と怒鳴られた」等と具体的な事実が示されて初めて、
裁判所は「×××」という発言があったのか否か、あったとして、それが離婚原因や慰謝料の発生原因となるほどの
暴言と言えるのかを評価する事になるからです。
また、争点に直結する重要な事実について、証拠を引用することも重要です。例えば、上記場面において、録音データがあるのであれば、
「○月○日、△△△と話すと、×××と怒鳴られた」(甲○号証の録音データの○分○秒部分)などとすると、確実な証拠がある事を示すことが
できます。
なお、離婚調停段階で、離婚原因の部分をどの程度記載するのかについても、考慮が必要です。
例えば、考え方の不一致、価値観の相違というレベルで法律上の離婚原因が認められることは希です。
にもかかわらず、逐一これを記載すると、無用に相手方の感情を逆なでするおそれがあり(離婚自体に争いがない場合は特に弊害が大きいです。)、
これを逐一記載しても、結局は、法律上の離婚原因として薄弱ではないか、との印象を裁判所に与えることにもなりかねません。
そうは言っても、簡にして要を得た書面は、普段から意識して作成していなければ、容易に作成できるものでは
ない事も確かです。複雑で整理がむずかしい事案ほど、弁護士に依頼される必要性が高まるとも言えるでしょう。
城陽法律事務所の書面は、端的に言いたい点を分かりやすく簡潔に記載してある、との感想を持たれる依頼者の方が多いです。
城陽法律事務所では、読み手が誰であっても、同じ意味に伝わるよう、重複や無駄な記載、曖昧な記載を極力避けて、構成も考えながら
要点を絞って作成することを心がけています。この事がひいては、「裁判所を説得する」という調停手続での目標に繋がるからです。
離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績にもとづき、お客様と一緒によりよい解決方法をかんがえます。