離婚の際の別居に際し、注意すべき点⑬ 相手方からの暴力・脅迫等への対処-ストーカー規制法
離婚の協議や調停等を行う際の別居に当たって注意すべき点を
ここでも解説いたします。
前回は、相手方から暴力、脅迫がある場合に、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する
法律」(通称:DV防止法)を用いて、裁判所に保護命令を求め、命令に違反した場合に刑事罰の対象とすることで
抑止力を働かせる、という方法を解説いたしました。
しかし、この制度の利用には、既に配偶者から、生命、身体に対する暴力やかかる危害を加える旨の脅迫がある事を
要件としており、まだ暴力や脅迫がなされていない場合には利用できないという点で難点がある旨、ご説明いたしているところです。
その他の方法として考えられるものとして、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(通称:ストーカー規制法)の利用が考えられます。
ストーカー規制法の規制の対象は、
・特定の者に対する恋愛感情その他の行為の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の勘定を
充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と
社会生活において密接な関係を有する者に対し、
①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以上「住居等」)の付近において
見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと
②その行動を監視していると思わせるような事情を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること
⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、
若しくは原子メールの送信等をすること
⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと
⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図面、電磁的記録に
係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を
送信し若しくはその知り得る状態に置くこと
です。
このようなつきまとい等をされた事を警察所長に対して申し出て、警告を求める旨、申し出ます。
つきまとい等の違反行為があり、更に反復して行為がなされるおそれがあると認められた場合、
相手方に対し、かかる行為をしてはならないとの警告が発せられます。
また、つきまとい等により身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は
行動の自由が著しく害される不安を覚えさせた場合、公安委員会は職権で禁止命令を出すことができます。
ストーカー行為をした場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の処罰の対象となりますが、
禁止命令に違反してストーカー行為をした場合、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金の処罰の対象となり、刑罰が重くなります。
暴行や脅迫はないものの、つきまとい等があるという場合には、ストーカー規制法の利用を検討することが考えられます。
ストーカー、と言うと、交際中の男女あるいは別れた後の男女が対象で、婚姻中の場合は含まないのではないか、と思われる方も
おられるかもしれませんが、婚姻中であっても、要件を満たせばストーカー規制法の適用が可能です。
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