離婚の際の別居に際し、注意すべき点⑫ー相手方の暴力、脅迫への対処(DV防止法)
今回も、離婚協議、調停等の手続を進めるに当たって、
別居される場合の注意点について解説いたします。
離婚の話をすると、相手方が激高して暴力や脅迫を行うおそれがある、という場合、
別居した上で、弁護士を代理人として離婚協議をするか、離婚調停を起こす必要性が特に高いです。
通常は、代理人として弁護士が通知を出すと、
弁護士が既についており、しかもこれから裁判所の調停を起こす、あるいは
既に係属しているにもかかわらず、騒ぎ立てると自分に不利になるのではないか、との自制が働くことが期待でき、
それ以上は相手方は、直接連絡をご本人に取る等の事は
行ってこない事がこれまでの経験上ほとんどです。
しかし、ケースによっては、更に防御策を講じたい、という方もおられるかと思います。
では、どのような手段が考えられるでしょうか。
この点は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(通称:DV防止法)に基づき、
裁判所に保護命令を出してもらう方法があります。
求めることのできる保護命令の内容は、
・命令の効力が生じた日から6か月間、住居その他の場所において、身辺につきまとい、
または住居、勤務先その他、通常所在する場所の付近を徘徊してはならないこと
・命令の効力が生じた日から2か月間、共に生活の本拠としている住居から退去すること
及び当該住居の付近を徘徊してはならないこと
命令の効力が生じた日から6か月間、
・面会を要求すること
・その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
・著しく粗野又は乱暴な言動をすること
・電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて
送信し、もしくは電子メールを送信すること
・緊急やむを得ない場合を除き、午後10時から午前6時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、
又は電子メールを送信すること
・汚物、動物の死体その他の著しく不快または嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと
・その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
・その性的羞恥心を害する事項を告げ、もしくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の
物を送付し、もしくはその知り得る状態に置くこと
を禁止する命令
を求めることも合わせて可能です。
また、未成年の子と同居している場合、相手方が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていること
その他の事情から、同居している子に関して相手方と面会することを余儀なくされることを防止するため
必要があると認められるときは、子の住居、就学する学校その他の場所において子の身辺につきまとい、又は
通常所在する場所の付近を徘徊することを
禁止する命令、
親族の住居に相手方が押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることその他の事情があることから
親族等に関して面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認められるときは、
つきまとい又は徘徊することを
禁止する命令
を合わせて求めることも可能です。(15歳未満の子及び親族の同意が必要)
ただし、申立を行うことが可能であるのは、「被害者」(配偶者からの身体に対する暴力または生命等に
対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫)が、①配偶者からの身体に対する
暴力を受けた者、②配偶者から生命等に対する脅迫を受けた者であって、
更なる身体に対する暴力(①の場合)、身体に対する暴力(②の場合)により、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが
大きい場合です。
従って、これまで暴力や生命・身体に対する脅迫が全くなされていない場合には、DV防止法を利用することができない点には
注意が必要です。
また、当該制度を利用する場合、法律上、申立て以前に暴力や脅迫があった時点で、「配偶者暴力相談支援センターの職員又は
警察職員」に相談、援助、保護等を求めていることを想定しており、これらを行っておく事が有用と言えます(証拠の1つにも
なります。)。
配偶者がこれら禁止命令に違反した場合、刑事罰の対象となります(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
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