離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点⑨ 子の意思
離婚の協議や調停を行うに際し、別居を行った上で手続を進められる方は
多いかと思われます。ここでは、引き続き、離婚に伴う別居を行うに際し、
注意すべき点を解説いたします。
お子さんがいる場合に、別居を進めるに当たって、子を連れで出られる方もおられるかと
思いますが、「違法な連れ去り」と評価されないよう注意が必要であることは、既に述べた通りです。
しかし、注意すべき点は、違法な連れ去りだけにとどまりません。
そもそもの問題として、お子さんがある程度の年齢の場合、別居に対して理解を示していることが
場合によっては必要と言えます。
まず、お子さんが15歳以上、あるいはこれに近い年齢の場合、親権をどちらが取得すべきか、については、
お子さんの意思でほぼ決まります。そうすると、別居し、お子さんを連れていくことにお子さんが納得していない場合に、無理に
お子さんを連れて別居を開始しても、お子さんは、相手方の方がよい、と意見を述べる可能性がでてきます。
離婚調停や訴訟等では、子が15歳以上の場合、子の意思を裁判所に顕出することが手続的に不可欠であるため、
これがはっきり出てしまう、という事になります。相手方がよい、という訳ではなく、単に親が離婚して欲しくない、という意味の場合も
あるかもしれませんが、強引に別居を開始することで、後にお子さんの気持ちがどう変化していくか、リスクも伴います。
また、お子さんが幼少の場合、お子さんの親権は、基本的にはこれまでどちらが主にお子さんの監護を行ってきたのか、その内容に
大きな問題がなかったかや、母性優先の原則等を考慮して決めることになりますが、お子さんが、子を連れて出た側の親に対して強い拒絶反応を
持っていたり、お子さんが自分の意思で相手方の下へ戻った場合などは、原則だけでは決められない可能性がでてきます。
以上のように見ていくと、これまで監護を主に行っていた側がお子さんを連れて別居を開始する場合、態様が平穏なものであれば、
相手方に対して、その旨、事前に了承を得ていなくても、「違法な連れだし」には当たらないと評価される事が多いかと思われますが、
他方で、お子さんが別居を十分に納得、理解しないまま、お子さんを連れた別居を開始した場合、後に様々なリスクを抱えることになることが
おわかりいただけるかと思います(逆に、子も十分、納得している、という事情は、お子さんの年齢によっては、「違法な連れだし」には当たらないとする根拠の1つにも
なり得るかと思われます。)。
そこで、お子さんには別居前にある程度事情を説明し、今の場所から離れて暮らすことについて、了解を得ておくことが
望ましいかと思われます(実際、お子さんは別居を開始すると、今後、どうなるのか、と不安定になることが想定され、あらかじめ見通しを示してあげることが
肝要かと思われます。)。
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