離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点③-弁護士への委任のタイミングと相手方への通知の時期・方法
これから離婚の協議や調停などを進めようと考えられている方が、
手続を行うに先立ち、別居を行おうと考えておられる方も多いかと思います。
ここでは、引き続き、離婚の協議、調停等を行うに際し、別居を行うに当たっての注意点を
解説することといたします。
離婚の際の別居を行うに当たって、相手方が押しかけたり、暴言を吐かれたりという事を気にされて
なかなか離婚や別居に踏み切れないとの悩みをうかがう事もあります。
ただ、相手方からの報復を恐れて、離婚を我慢するという事にも無理があり、また、無理があるとお考えであるからこそ、
弁護士に相談されているというのも事実かと思われます。
そこで、離婚の際の別居を行うに際し、1つ考えられる方法として、
別居を行うよりも前に、弁護士に離婚の協議や調停の委任契約を結んでおき、
別居を行うに当たり、弁護士が相手方への通知書を作成し、これを内容証明等で別居と同時に送るか、
別居時にご本人に家の中で相手の目につく場所に弁護士が作成した通知書を置いて家を出ていただく
などの方法があります。
当事務所では、相手方への通知書の中には、離婚や離婚成立までの間の生活費である婚姻費用の請求について委任を受けていること、
今後、本件については代理人である弁護士に意見、質問等をしていただき、本人への連絡接触を固くお断り申し上げること
などを記載しています。
プロ野球選手が年俸の交渉を球団と行うに当たって、弁護士に交渉を依頼される場面を想起いただくと
よいと思いますが、代理人が就いている場合、球団は選手本人ではなく、代理人である弁護士を窓口として
連絡や交渉を行います。選手は、「代理人をつけているのだから、窓口は代理人である弁護士でお願いしたい。
直接、連絡されても話せることがない」と正当に述べることができます。
対して、代理人が就いていない場合、球団は選手本人に連絡しなければ交渉が進まないため、本人が窓口となってしまいます。
離婚における交渉、調停等も同じことが言えます。
代理人が就いていることで、相手方も、「弁護士が間に入っている以上、事を荒立てては、むしろ自分に不利になるのではないか」
「このような状態で本人に電話等をしても、おそらく出ないだろう」「ましてや、調停となると裁判所の手続にかかる訳だから、
おかしな事をしてはまずいのではないか」と自重される事が考えられます。
実際、これまで暴言等があった方でも、弁護士が代理人としてついた旨の通知が届くと、ご本人に問い合わせ等をされない方の方が
経験上、圧倒的に多いですし、仮に連絡を取られることがあっても、「既に弁護士に依頼しており、直接話せることがないので、
今後、返信できません」などのメールを送られると、以降は何も言ってこなくなる方がほとんどでした。
また、このような通知を出しておくと、離婚成立までの間の生活費である婚姻費用分担請求との関係でも、意味をもつことになります。
通常、婚姻費用の調停、審判の対象は、調停を起こした時以降の分であり、それ以前の分は対象とならないのですが、婚姻費用を請求する意思を
内容証明等で明示していた場合、以降、調停申し立て以前の分も対象に含められる可能性があるのです。
DVの事案ではない場合でも、突如、別居を行うと、相手方は、事情が分からず、ご本人に連絡を取ろうとすることが
多いかと思われます。このような場合に備えて、事前に弁護士と契約を行い、別居と同時に通知される形で別居を行うと
スムーズかと思われ、このような形で当事務所に依頼される方も多いです。
離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績にもとづき、お客様と一緒によりよい解決方法をかんがえます。