抑うつ状態による就労不能を理由とした婚姻費用等の減額請求について
離婚成立までの間の別居中の生活費である婚姻費用や、離婚後の子の生活費である
養育費を取り決めるに当たっては、夫婦双方の収入が問題となります。
この点、離婚や婚姻費用の調停、審判等では、時々、抑うつ状態にある旨の診断書が提出され、
就労不能であるから、収入を0円と見るべきである旨、主張されることがあります。
この点に関し、判断が分かれた裁判例が存在します。
婚姻費用の審判後に、抑うつ状態となり、勤務先を退職した上、再就職が困難である事等を
理由に婚姻費用の減額調停、審判が求められた事案につき、
1審は、年齢、精神状況、求職活動の状況からすると、前回の審判時と同程度の収入が直ちに得られるとは
認められず、事情変更が認められるとして、減額を認めました。
対して、大阪高裁令和2年2月20日決定は、
「自主退職後、散発的ではあるものの、・・・給与収入を得る傍ら、・・・第一種衛生管理者の免許等を取得し、
・・・大学・・・(通信教育課程)の入学試験に合格し、・・・入学予定である。
このように、抗告人は、自己の将来に役立てるために免許等の取得や大学進学を目指して意欲的に取り組み、
実現しているのであるから、就労困難であるほどの抑うつ状態であるというのは不自然であり、信用することはできない。」
などとして、事情の変更を認めず、減額も認めませんでした。
上記事案では、一般就労は困難である、との医師の診断書が証拠として提出されていましたが、
これと矛盾する行動を取っている点などを重視したものと言えます。
従って、収入をいかに見るべきかに当たっても、適切な主張、立証を行うことが肝要といえます。
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