性交渉の拒絶と離婚原因
離婚を求めたところ、相手方がこれを拒絶する場合、
離婚訴訟では、一方が離婚を望まない場合でも離婚を余儀なくされる事情、すなわち、
法律上の離婚原因があるか否かが審理されることとなります。
それでは、夫婦間で一方が性交渉を拒絶し続けているという場合、
民法770条1項5号に言う、「婚姻を継続し難い重大な事由」の離婚原因があると
言えるのでしょうか。
この点、性交渉の拒絶と言っても、ケースは様々であり、
体調その他の健康上の理由で拒絶したという場合であったり、拒絶が数回というレベルの場合には、
その事のみでは法律上の離婚原因があるとは判断されにくいものと考えられています。
これに対して、健康上の理由等ではなく長年にわたり性交渉を拒絶してきた、
という場合、法律上の離婚原因に当たり得るものと考えられています。
これは、婚姻は男女の精神的・肉体的な結びつきを指すものであり、性関係の重要性からすると、
婚姻後、長年にわたり性交渉を拒絶し続けるという事は、異常な事態と言え、婚姻を継続し難い重大な事由が
あると言えると判断されていることによります。
最高裁の判例でも、夫婦の性生活が婚姻の基本となるべき重要事項であるという考え方は
示されているところでもあります(最判昭和39年2月6日)。
ただし、性関係を重視しない旨の当事者間の合意がもともと存在しているという場合には、
性交渉の拒絶が長年にわたり存在したとしても、離婚原因があるとは言えないものと考えられています。
また、性交渉を長年にわたり拒絶してきた、という事情をどのように立証するのか、という問題も
残り、録音・録画データやメール、日記、LINE等の履歴など過去の痕跡が残っていない場合、
立証が難しくなることも考えられます。
離婚原因がそれほど強くない、あるいは立証が難しいケースでも、離婚調停等により
解決が可能な場合があることは、別の投稿で取り扱った通りです。
そこで、どのように離婚を進めていくのか、個別のケースに応じて、戦略を立てることが重要と言えます。
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