離婚訴訟に関連した請求の注意点
離婚調停が不成立となった場合、離婚訴訟を提起することが
できます。
離婚訴訟では、離婚原因に関連した損害賠償請求も、同じ訴訟の中で
合わせて請求を立てることができます(人事訴訟法17条)。
典型例は、不貞行為や相手方の暴力が離婚原因として挙げられている場合、
これを理由に、離婚慰謝料を求める場合がこれに当たります。
ただし、離婚原因に関連した「損害賠償請求」である必要があるため、
例えば不当利得返還請求を、離婚訴訟の中で立てることはできない点に注意が必要です。
また、離婚訴訟では、附帯処分として、養育費や財産分与、年金分割なども求めることが
可能です(人事訴訟法32条)。
では、面会交流についてはどうでしょうか。
これについても、理論的には附帯処分に当たり、請求を立てることが可能です。
ただし、家庭裁判所の調査官の関与の仕方が限定的となってしまいます。
調停段階では、双方の調整的な調査、例えば、面会を行う事に支障があるかないかを見極めたり、
慣れる意味で、試行的面会交流を調査官立会のもと行うことがありますが、訴訟ではこのような
手続が取ることができません。
ですので、面会交流については、調停、審判の中で柔軟に解決を図ることが望ましいと言えます。
また、調停段階では、秘匿の申し出を行い、住所や勤務先の書かれた部分を相手方が
見ることの出来ないようにする申し出を行うことが可能です。
対して、訴訟の場合、事実調査部分を除き、一般の民事訴訟法の規定に従うとされており、
裁判所の記録に綴られると、当事者は閲覧、謄写が原則、可能となります(民事訴訟法91条)。
もちろん、例外的に、相手方が権利濫用のため(例えば、訴訟の遂行を目的とするものではなく、
勤務先におしかけることが目的など)に閲覧、謄写を行おうとしている場合、裁判所書記官が閲覧謄写を
認めない事もありますが、あくまで例外的な取扱となります。
このため、相手方に知られたくない情報については、該当箇所をマスキングしたものを提出する必要が
あります(例えば、勤務先発行の源泉徴収票を、養育費算定との関係で提出する場合に、支払者である
勤務先の名称、所在地をマスキングするなど)。
他にも、離婚訴訟では気をつけなければならない点が存在します。
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