離婚調停に提出すべき証拠-52 財産分与・事業用財産
離婚調停、訴訟に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚に付随して、財産分与を求める場合で、夫婦の一方が個人事業主であり、事業用財産を
有する場合について考えます。
離婚時の財産分与の対象財産は、夫婦の収入から築かれた財産であることはご存知の方も
多いのではいかと思われます。もっとも、夫婦の収入から築かれた財産であっても、全てが財産分与の
対象となる訳ではなく、例えば、夫婦の一方が使う衣服や貴金属等については、その人のみが使うことを想定して
購入されたものであることから、財産分与の対象に含まれない可能性が生じます(専用財産と呼ばれることがあります。)。
それでは、事業用財産の場合はどうでしょうか。専ら、夫婦の一方の事業のために使われる機械、工具、車両、什器備品等については、
その事業にしか使われることが想定されていないのであるから、専用財産と考えるべきとの主張がされることがありますが、
実務では、財産分与の対象として考えるのが通常です(個人事業主ではなく、株式会社の場合、株式が財産分与の対象となり、株式の価値は
法人が有する財産の価値等から決まることとなる事からも、個人事業主の事業用財産が財産分与の対象に含まれないことは不当と言えます。
新日本法規刊、野口栄一郎、武藤裕一共著「離婚事件における家庭裁判所の判断基準と弁護士の留意点」P225,226)。
そこで、事業用財産がある場合は、確定申告の控え(貸借対照表や減価償却の欄など)や写真等により、どのような事業用財産があるのかを明らかにすると共に、
買取業者の査定書や車であれば、レッドブック(中古車市場で当該型式のものが平均いくらで売られているのかが分かります)を
証拠として提出することが考えられます。
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