離婚調停に提出すべき証拠-㊺財産分与・夫婦の一方が相続した小規模の会社
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。 今回は、離婚調停、離婚訴訟等に付随して、財産分与が請求されており、その中に、 夫婦の一方が相続した小規模の会社がある場合について考えます。 夫婦の一方が会社を有している場合で、会社の株式が夫婦の収入から出来たものである場合は、 財産分与の対象として、当該株式が含まれ得ます。 これに対し、夫婦の一方が親から相続した小規模の会社がある場合等については、どのように 考えるべきでしょうか。 相続をした後、会社が成長し、元々有していた株式の価値が婚姻後に増加することから、増加分を 離婚時の財産分与において精算すべきでは無いか、という問題が生じます。 この点は、松本哲泓著、新日本法規刊「離婚に伴う財産分与-裁判官の視点にみる分与の実務-」 P89~90では、「妻の寄与の大要にもよるが、原則的には、対象とすることができないであろう。 会社の業績や規模の拡大は、経営者の会社に対する貢献によるものであり、妻の寄与は、内助的なものであれば、 夫個人への貢献によるものであり、妻の寄与は、夫の収入(報酬)に反映するだけであり、会社の収入に対するものではない。 会社そのものに対する寄与があるのであれば、それは会社から報酬を受けるべきで、財産分与として夫が支払うという関係では ないといえるからである。」とした上で、「ただし、会社の規模等によっては、個人営業の場合と比較して、不公平な結果となる場合が ないではない。この場合は、一切の事情として考慮することになろう。」と解説されています。 従って、財産分与の対象から外すべきと主張する立場からは、他方配偶者の関与、寄与の中身が、家事その他であり、 会社の業務には関与していない事などを主張、立証することが考えられ(陳述書等)、財産分与の対象に加えるべきとの 立場からは、自身が会社の重要な業務に携わってきた事や、これが会社の売上に影響を与えた事、これに対する報酬等を受け取っていない事などを 陳述書や会社の経理書類等で主張、立証することが考えられます。 離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。 豊富な解決実績に基づき、お客様と一緒によりよい解決方法を考えます。