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2022年10月25日

離婚調停に提出すべき証拠-㊷婚姻費用・養育費 学費と学資保険等

離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。

今回は、離婚調停、訴訟等に付随して、別居中の生活費である婚姻費用や、離婚後の養育費を

取り決める必要がある場合で、子の学費等の特別加算が主張されている場合について考えます。



裁判所が用いる、婚姻費用や養育費の「算定表」は、年齢に応じて、公立中学または公立高校の

年間標準学費年13万1302円または年25万9324円が既に考慮されています。

私学や大学等の場合、年間学費が上記を越えることがあり、越えた部分について、算定表では考慮されていない特別の費用として、

算定表の基本月額に、加算が求められることがあります。



このような場合で、夫婦がかけた子の学資保険や、夫婦の収入等を貯蓄した子名義の預金等がある際、

当該保険や預金から、まず特別の費用に充てるべきである、と主張することができるでしょうか。



この点は、まず、夫婦の収入が財源となって形成されたものについては、夫婦の共有財産と評価されることが

多く、夫婦の共有財産と評価される場合、その分配は、離婚の際の財産分与において取り決めるべきものであり、

婚姻費用や養育費の特別の費用に充てることはできない、との結論になりやすいです。

ただし、この場合でも、夫婦間で、これを特別の経費にまず充てるとの合意ができる場合は、この限りではありません。



また、夫婦の収入が財源とはなっておらず、あるいは、夫婦の収入が財源となっていても、将来の進学等に備えて子に贈与しているなど、

子の特有財産と評価できる場合は、婚姻費用や養育費の特別の経費にまず充てるべきである、との主張が認められる

可能性が出てきます。



そこで、離婚調停、訴訟等においては、学資保険や子名義の預貯金の通帳等の提出(相手方が保持している場合は、その開示を求める)

ことで、特別の費用に充てるべき財産及び金額を明らかにし、これに充てるべき旨、主張することが考えられます。

特に、大学入学等の際は、一度に多額の費用がかかることがあります。離婚を合わせて行うのであれば、学資保険や子名義の預貯金等が夫婦の共有財産に属すると

評価される場合であっても、財産分与で分ければよい事となり、特別の費用に充てることを強く考える必要は生じません。これに対して、当面は離婚せず、婚姻費用を

払い続けることとするものの、大学入学等により多額の費用が生じるが、婚姻費用の支払義務者側にめぼしい預貯金等、現金性のある財産が乏しい場合には、

理論的には、特別の費用に充てるべき財産とは言えない場合であっても、現実的な解決のためには、例えば、婚姻費用を支払う側が、当該学資保険ないし子名義の預貯金の半額について、将来の財産分与の先取りをする旨、合意して(=その旨を合意書や調停条項の中で明らかにしておく必要があります。)、学資保険等を進学費用に充ててもらう、という事も交渉として考えられるところです。



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