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2022年03月08日

離婚調停に提出すべき証拠-㉛相手方が財産の開示に非協力的である場合

離婚調停に提出すべき証拠をここでも解説いたします。

今回は、離婚に付随して、離婚にともなう財産分与を請求する場合で、

相手方が財産の開示に非協力的である場合について解説いたします。

 

離婚の際の財産分与の対象財産については、財産分与の対象となる財産が存在すると主張する側が、

当該財産の存在や金額を立証する必要があるのが原則です。

このため、夫婦の一方が、他方の財産も含めて管理を行ってきた場合は、相手方の財産の資料も含めて、

離婚調停、訴訟等に証拠として提出することが容易ですが、相手方の財産は相手方が管理してきた場合、

当該財産の資料を自ら入手することは困難です。

 

このような場合、相手方の財産の存在が、どこの金融機関、支店か等も含めて分かっている場合は、

離婚調停、訴訟の手続の中で、裁判所を通じた調査嘱託を申し立てることで、財産の資料を入手、提出できることが

あります。

対して、相手方が財産を持っていることは分かっているが、どこの金融機関や証券会社か等が全く分かっていない場合は、

困難が伴います。相手方が給与所得者である場合は、調査嘱託を用い、勤務先を照会先として、給与の振込先の金融機関を回答してもらった上で、

当該金融機関の取引履歴を調査嘱託で入手し、更に、当該取引履歴で登場する振替先、入金元の証券会社等を照会先として、調査嘱託を申し立て、

資料を入手して証拠として提出することが考えられますが、このような情報の端緒がまったくない場合、どこに調査嘱託をかけるべきかが分からないため、

資料の入手が難しいです。

 

このように、夫婦の一方が財産の開示に非協力的であるために、財産分与の対象財産や金額の認定がむずかしい場合、

「特段の事情がない限り、夫婦共有財産を隠匿する事態は、いわば夫婦間における信義則に反するものとして、

「隠匿していると合理的に考えられる事情」を「一切の事情」の1つとして財産分与の判断をすることが考えられると

されています(新日本法規刊、松本哲泓刊「離婚に伴う財産分与-裁判官の視点にみる分与の実務-」P154)。

同じような考え方を採った裁判例として、大阪高判令和3年8月27日があります。)。

 

従って、離婚調停や訴訟において、手続内において、主張書面等で、求釈明を行い、相手方の財産資料の開示を求めていることを

経過上、明らかにしておくと共に、婚姻中の夫婦の収入、支出、こちら側の財産の資料等を証拠として提出し、相手方にまとまった金額の

財産が存在する蓋然性が高いこと、にもかかわらず、相手方の財産を0円と考えることは不当である事を主張、立証することが

考えられます。

 

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