離婚調停に提出すべき証拠-㉚財産分与・就労の仕方による分与割合の修正
離婚調停に提出すべき証拠を解説いたします。
今回は、離婚調停において、離婚に伴う財産分与の請求を合わせて行う場合で、
財産分与の割合を原則の50:50ではなく、分与割合を修正する要素として、
就労の仕方の違いを主張、立証する場合について考えます。
離婚時の財産分与の分与割合は、例え夫婦の一方が専業主夫ないし専業主婦である場合でも、原則として50:50と
判断されることはご存知の方も多いかと思われます。
もっとも、夫婦の一方の就労の仕方が特殊で、その就労の仕方によって財産形成に差を認めることが公平と考えられるケースは
存在します。
例えば、夫婦の一方が航海士や海技士であったり、とても過酷な環境におかれて高収入を得たという場合が考えられます。
前提として、そのような危険な働き方をしなくても得られる財産を相当超える財産を貯蓄しているという事が必要となります。
裁判例としても、夫婦の一方が1級海技士の資格をもち、1年のうち半年~11か月を海上勤務で過ごしているケースで、
財産分与の対象財産が不動産を含めて合計7600万円あったところ、
「右財産の形成は、被控訴人が一級海技士の資格をもち、1年に6か月ないし11か月の海上勤務をするなど
海上勤務が多かったことから多額の収入を得られたことが大きく寄与しており、他方控訴人は主として家庭にあり、留守を守って
一人で家事、育児をしたものであり、これらの点に本件に現れた一切の事情を勘案すると、被控訴人から控訴人に対し、
財産分与として形成財産の約3割に当たる2300万円の支払を命ずるのが相当である。」と判断したものが
あります(大阪高判平成12年3月8日)。
このような主張、立証を行うため、
・免許状等の資格を有することを証明する書類
・具体的な就労態様に関する陳述書及びその裏付け資料(例えば、長期間にわたり外洋に出ていることを証するため、家族とのメール等の
やり取り等)
・財産分与の対象財産が相当高額となっていることを示す、財産関係の資料
を提出することが考えられます。
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