調停時の注意-⑩調停の目標、目的は「裁判所を味方につけること」
離婚調停や婚姻費用分担調停等を申し立てるに際しての注意すべき点を
ここでも解説いたします。
離婚調停などが、訴訟と異なり、話し合い及び相互の互譲の精神を基礎とした手続であることは
比較的知られているかと思います。
では、調停手続を利用する場合、何を目標、目的として主張、立証を行うべきでしょうか。
この点、代理人として弁護士が入っていない事件では、当事者間の話し合いと同様に、
感情的な対立から、主張書面等において、相手を単に非難する内容の文章などが書かれることがあります。
あるいは代理人として弁護士が入っている事件でもしばしば、依頼者の言い分をそのまま書き、相手方を
単に非難する内容の文章が書かれていることも目にします。
事件の内容からすると、相手方を非難したくなる事も無理はないのですが、こんな時こそ、調停の目標、目的を
考える必要があります。
まず、調停は、「当事者が双方、合意しない限り、成立することはない」という点に注意が必要です。
調停の目的は、適正な内容で合意に達することです。
しかし、理論的には自分の言い分が通らない事が分かっていても、感情的に受け入れられない、という事はよく起こります。
そうすると、単に相手方の感情を逆なでするだけで、結論に全く影響しない主張を行っても、調停成立から遠のくだけである事から、
無用な非難中傷は避けるべきと言えます。
また、当事者間の協議のように、単なる話し合いではなく、背後には裁判所がいるという点が重要です。
当事者の主張や証拠が出そろった段階で、争点に対して、裁判所(調停委員会)が意見を示すことが多いです。
そうすると、調停の目的は、「裁判所を味方につける」という点にあるとも言えます。正しい主張書面、確実性の高い証拠を
提出し、裁判所(調停委員会)に「あなたの言い分が正しい」と認めてもらうことが重要です。
このように、当事者が互いに主張、立証を尽くした結果、公平中立な裁判所が見解を示すことで、自分に不利な結論が示された側も、
感情的な問題を抑えてやむを得ず受け入れるという判断を行うことが多いです。
このように考えると、調停は、「相手に負けを認めさせる」手続ではなく「裁判所を味方につける」ことを目標とした手続であり、
「相手を単に非難中傷すること」には(仮に一時的に感情が満たされる事があったとしても)、意味はなく、「むしろ解決に当たっては有害」(相手方が
意固地になり合意できなくなるリスクが高まる他、裁判所も結論に影響しない単なる非難中傷などは好まず、かえって心証が悪くなる可能性もあります。)
と言えます。
このように、「裁判所を説得する場」と考えると、相手方が自己に都合のよい主張等を行ってきても、
「正しい主張、証拠を裁判所に出して裁判所に理解してもらえばよい」と思えるようになり、腹が立ったりつらい思いをされたり、という
ストレスも減るのではないでしょうか(実際、城陽法律事務所に依頼された方に、ご説明すると、なるほど、そんなに腹が立たなくなりました、と言われる方が
多いです。)。
このような観点から、城陽法律事務所では、無意味な非難中傷を主張書面に記載することは致しておりません
(もちろん、相手方のやり方がおかしい場合(例えば、別居後に相手方が子を無理矢理連れて帰ろうとするとか、代理人が就いているにもかかわらず、
ご本人に直接会おうとされる等)には、その旨、端的に指摘、抗議等を行うことはあります。)。
城陽法律事務所では、調停の目標として「裁判所(調停委員会)に正しい情報を提供して、正しい判断を行ってもらう」ことを念頭に弁護活動を行って
います。
離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績にもとづき、お客様と一緒に、よりよい解決方法をかんがえます。