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2021年07月20日

調停時の注意点-⑥書面の提出方法

離婚調停や婚姻費用分担調停などを申し立てるに際し

注意すべき点をここでも解説いたします。

 

裁判所に書類を提出する際の注意点として、どのような点が考えられるでしょうか。

まず、申立ての段階では、附属書類として戸籍謄本(3か月以内発行のもの、原本)を添付する必要があります。

また、申立書を提出する際には、裁判所用の正本と相手方に裁判所が送達する副本の2通が必要となります。

副本は相手方に送達されるものとなるため、例えば、相手方から暴力やプライバシー侵害のおそれがある等の理由から

住所を非開示としたい等の場合、申立書自体に住所を記載してしまうと、相手方に分かってしまう事から、申立書の住所欄は

最初から、非開示と記載しておく必要があります。

 

これに対し、その後の主張書面や証拠については、法律上は必ずしも、相手方用の副本の提出は不要とされていますが、

主張や証拠としてどのような内容のものが出されたのか相手方が分からなければ、手続の進行が難しいため、相互に共有した方が

よいものについては、家庭裁判所が副本の提出を求めることがあります。

実務上は、裁判所の要請を待つまでも無く、相手方用の副本も提出することが一般的です。

この場合も、秘匿したい情報(例えば、源泉徴収票を収入の証拠として提出する場合で、源泉徴収票上に記載のある住所等を相手方に見られたくない場合)については、

提出段階でマスキングを行っておく必要があります(正本、副本共に。相手方は裁判所の記録の閲覧、謄写権を持っており、正本を見られる可能性が出てくること等によります。)。

なお、住民票にマイナンバーの記載がある場合、裁判所は、提出する段階でマイナンバー部分をマスキングするように指導しており、そのまま出すと、

マスキングするように求めてきます。(マイナンバーは調停や審判に不要であり、むしろ大事な個人情報である事から、漏れると危険であるため、最初から削ってもらう、という

事です。)

 

主張書面については、タイトルは、「主張書面」あるいは「意見書」とするのが一般的です。複数回、出す事が多いため、

申立人側であれば「第1主張書面」「第2主張書面」だとか「第1意見書」「第2意見書」、相手方であれば「主張書面(1)」「主張書面(2)」だとか

「意見書(1)」「意見書(2)」などとするのが実務です。

 

また、証拠については、申立人側であれば「甲1号証」など「甲」を、相手方側であれば「乙1号証」など「乙」を使うこととなります。

同じ意味合いの証拠が複数ある場合(例えば、A銀行の口座番号○○の通帳を提出したいが、問題の期間分を出そうとすると、通帳が2通あるという場合や、

相手方に対する既払金を立証するために、5月、6月、7月の各振込明細書を出したいという場合)は、それぞれを「甲1」「甲2」などとしてもよいですが、

数が増えすぎて分かりづらくなるため、「甲1号証の1」「甲1号証の2」などと枝番をつけるのが一般的です。

 

サイズはA4サイズ、片面コピーで、左端に余白を作り、ファイルに綴じるためのパンチングを裁判所が後でできるようにしておきます。

 

なお、離婚調停、婚姻費用分担調停、面会交流調停などはそれぞれ全く別の事件であり、同じ期日に調停期日が開かれていても

事件が併合されている訳ではなく、事実上、同じ日時で行っているに過ぎず、裁判所の記録や事件番号も別のため、仮に同じ内容の

主張書面や証拠を出す場合でも、どれかの事件だけに出すのではなく、関係する事件すべてに1通ずつ(相手方交付用を合わせると2通ずつ)を

面倒ですが提出する必要があります。

 

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