調停時の注意-④ 送達方法について
離婚調停や婚姻費用分担調停などを申し立てる場合の注意点を
ここでも解説いたします。
離婚調停や婚姻費用分担調停を申し立てると、裁判所が申立書や附属書類をチェックし、
申立人側と裁判所で第1回調停期日を調整し、これにより確定した日を第1回調停期日として通知を
相手に行います。この際、申立書の副本なども同封されます。
裁判所から相手方への通知は、「特別送達」といい、送達の事実を記録に残すため、
郵便配達員が直接、交付するか、不在の場合には不在票が入るので、不在票を保管期限内に郵便局に
持参して受け取ってもらうかのいずれかとなります。
問題は、本人がその住所に住んでいるものの、不在の上、保管期限内に郵便局に受け取りに行かなかった場合です。
このような場合、送達がなされたとは言えず、調停期日を開くことができません。
この点、訴訟の場合には、「就業先送達」と言って、相手方の勤務先や職場が分かっている場合、
そこに送達するよう上申すると、裁判所は相手方の勤務先に送達を行います。
就業先送達の規定は、離婚調停などの家事調停でも、本来は法律上、除外されていないのですが、
例えば神戸家裁姫路支部の場合、離婚調停などについて、就業先送達は行わない取り扱いを採っています(令和3年7月現在)。
その理由としては、調停は双方の互譲による話し合いを基礎とするところ、通常、離婚調停等の家庭内の紛争があることを
職場に知られたくないというのが一般的であり、調停等の資料が職場に届けられると、それだけで相手方は心情を害する事が
十分考えられ、家事調停の趣旨に反する、という事で説明を受けたことがあります。
対して、離婚訴訟の場合は、「訴訟」であるため、元々、双方が主張、証拠を戦わせることを想定しており、就業先送達も
受け付けられます。
就業先送達以外の方法としては、平日ではなく休日に送達する「休日送達」、
相手方が住んでいることが明らかである事を資料に基づき説明できる場合は、「付郵便送達」と言って、
通常の郵便同様、ポストにそのまま届けられた時点で送達があったと見られる形を利用することが考えられます。
なお、執行官が送達する、「執行官送達」の方法もありますが、単に最初の申立書を送ったが保管期限が過ぎて返ってきた、というだけでは
実施してくれない事が多いようです(事案としてそれなりにあるので、このレベルで受け付けていては、大変、という事かと思われます。)。
ただし、付郵便送達については、電気・ガスメーターが回っているかや、郵便受けの状況、近隣住民からのヒアリングなどの
結果を写真をつけた報告書を提出し、本人が住んでいることが明らかであることを示す必要があります(誰かが住んでいる、というのではなく、
相手方が住んでいる、という事が明らかと言わなければならない事から、通常は、近隣住民からのヒアリングも必要となってきます。)。
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