離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点⑤ 住所の秘匿|弁護士ブログ|離婚相談・離婚調停のお悩みは姫路市の城陽法律事務所へ

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2021年06月02日

離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点⑤ 住所の秘匿

離婚の協議や調停を進めるに当たって、事前に別居を行った上で

進められる方は多いかと思われます。

今回も、離婚を進める際の別居に当たり、注意すべき点を解説いたします。

 

離婚に向けた別居を行う効果については、これまでの「離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点①~④」で

解説した通りです。

離婚の際の別居を行うに際し、新しい住所を配偶者に明らかにしたくない、という場合もあるかと思われます。

例えば、配偶者から暴力があったり、ストーカー行為があった場合等もあるかと思われます。

このような場合に、離婚の調停や訴訟等を行うに当たって、住所の秘匿をどのように行うことができるでしょうか。

 

まず、離婚調停、訴訟においては、申立てを行う側が相手方に対して、金銭を支払う立場にない場合には、

実際の住所ではなく、住民票上の住所や前の住所を用いて申し立てることが可能です。

このため、住民票を移さず、前の住所を相手方には知らせずに離婚調停等を申し立てるという方法が考えられます。

(逆に、金銭を支払う立場にある場合、例えば、親権は相手方が取得し、養育費は当方が支払うという内容の離婚調停等を

申し立てる場合、当方は支払義務者となることから、裁判所は現住所を明らかにするよう求めてくるため、この方法は採ることができません。)

 

また、配偶者からの暴力、ストーカー行為等や児童虐待、これらに準じる行為の被害者については、

市区町村に対し、「住民基本台帳事務におけるDV等支援措置」を申し出て、「DV等支援対象者」となることにより、

「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」「住民票・除票の写し等の交付」「戸籍の附票・除票の写し」の交付の請求があっても、

これを拒否する措置を市区町村は取ります。従って、この制度を利用すると、相手方は住民票や戸籍の附票を取得して新住所を

把握することはできなくなります。

ただし、申し出を行う要件は、

・DV防止法に規定する被害者であり、かつ、暴力によりその生命又は身体に危害を受けるおそれがある

・ストーカー規制法に規定する被害者であり、かつ、更に反復してつきまとい等をされるおそれがある

・児童虐待防止法に規定する被害者児童であり、かつ、再び児童虐待を受けるおそれがある、あるいは監護を受けることに

支障を生じるおそれがある

・これらに準ずる場合

です(申出を行う方と同一の住所をもつ方についても、その方の住民票が取得できてしまうと、相手方に結局新住所が分かってしまうことから、

申出を行う方と合わせて上記措置を申し出ることが可能です。)。

この制度を使っている場合、離婚調停の申立書の住所の記載には「秘匿」とすることが可能となり、当該制度を使っていることを

合わせて上申することで、裁判所限りで新住所が分かっていることになります。

 

なお、相手方が上記措置を採ったため、相手方の新住所が分からないが、こちらから調停を申し立てたい場合

(例えば、相手方が離婚成立までの間の別居中の生活費である婚姻費用分担調停のみを申し立ててきた事から、

当方より、離婚調停や子の面会交流の調停を申立てたいという場合)、住所を記載せずに申し立てることができるのか、

という問題が起こりますが、相手方住所が上記制度を利用されている事により不明であることを上申して調停を申し立てると、

裁判所が市区町村に照会をかけ、裁判所限りで相手方の住所を把握することで、申し立てがあった裁判所に管轄があるのか否か

(離婚調停等の管轄は、相手方の住所を管轄する裁判所であることが原則となります。)を裁判所が把握し、管轄がある場合に、

相手方住所に離婚調停等の申立書等を送達します。

 

離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。

豊富な解決実績にもとづき、お客様と一緒によりよい解決方法をかんがえます。

 


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