離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点②-荷物の搬出をどうするか
離婚の協議や調停等の手続を行うに際し、別居を行った上で
進める方は多いかと思われます。そこで、前回につづき、離婚の際の別居を行うに当たっての
注意すべき点を解説いたします。
別居を行う際、時々、大々的に引越の準備をされ、ご自身やお子さんの荷物全てを搬出して
別居をされようとする方がおられます。ご自身で軽トラックを用意したり、場合によっては
引っ越し業者を手配されるなど様々です。
これは、別居してしまうと、後で家に来て荷物を取りに来ることが難しくなるし、離婚の話をこれから
していくのに、これとは別に荷物の搬出等を協議することは大変だから、別居する前に、事前に出来ることはしておきたい、
というお考えによるものと思われます。
しかし、このように大々的に荷物の搬出を準備してしまうと、リスクが伴います。
すなわち、相手方が気づいていないものと思って、相手方が出かけた隙に、荷物の搬出を始めようとしたところ、
相手方は実は薄々きづいていて、家に戻ってきて、「何をしているのか。勝手に物を持って行くな。子供も置いていけ。」
などと言い、結局、その際に別居できなかった、というご相談を複数うかがったことがあります。
このような場合に、例えば相手方が制止しているにもかかわらず、強行して子を連れて出て行った、となると、
「子の違法な連れだし」に当たるとの根拠の1つとして主張されかねない、というリスクを負う他、
相手方に不貞行為や一方的な暴力などの法律上の「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当する事由まではない場合、
別居期間がある程度の期間となった事自体が「婚姻関係が客観的に破綻している」と判断されて「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が
存在すると判断されることとなりますが、別居を開始できなければ、別居期間のカウントが始まらないという事になりかねず、
離婚に向けて前に進まない、というリスクも生じ得ます。
このように考えると、優先順位としては、まずは、平穏無事に離婚に向けた別居を開始させること1番と言えるのではない
でしょうか。荷物については、当面必要な最低限のものにとどめ、また、どう考えても夫婦のものではなく、ご自身あるいはお子さんのもの
と言えるものに絞る(例えば、服やランドセルなど)などの工夫が必要かと思われます。
それ以外の荷物や夫婦の共有の動産については、別居後の離婚協議や調停手続きの中で搬出の機会をもらえるよう、申し入れるということが
考えられます。
このように、離婚を進めるに当たっては、優先順位が何なのかも考えながら進めていくことが重要です。
離婚を弁護士に相談、依頼をお考えの方は、姫路の城陽法律事務所まで遠慮なくご相談ください。
豊富な解決実績にもとづき、お客様と一緒によりよい解決方法をかんがえます。