離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点①-別居前に証拠の確保
離婚の協議や調停を進めるに当たって、別居を行った上で
手続を進められる方は多いかと思われます。
では、別居を始めるに当たって注意すべき点としてどのような事が考えられるでしょうか。
まず、離婚の調停、訴訟では、立証責任を負う側が証拠で証明できなかった事実については、
存在しないことを前提に結論が決められる危険があります。
例えば、離婚に際し、財産分与を求める事を検討されている方は多いかと思われますが、
相手方の財産に○○の投資信託があるかが問題になっている場合、その財産が存在すると主張している側が
証拠で証明する必要があります。
離婚調停で離婚自体には争いがなく、財産分与が争点の1つとなっている場合、まずは双方、自分の財産を
開示する事から始めます。この際、相手方が任意に投資信託の資料を開示してくれればよいのですが、
相手方が開示して来ず、「○○の投資信託があるはずだから、開示して欲しい」と調停手続内で求釈明を行っても、
相手方が「存在しない」などと回答してきた場合、手詰まりとなる危険が生じます。この点、例えば、相手方が開示してきた
通帳の中に「○○証券」に対する振替等が表示されていた場合、客観的な裏付けがある事から、裁判所に対し「調査嘱託」の申し出を
行い、裁判所から○○証券に照会をかけてもらう事も考えられます(照会先や事項を様式に従って記載した申出書を出す必要があります。)。
しかし、何の裏付けもないにも関わらず、裁判所に調査嘱託の申し出を行っても、応じてくれない可能性が高いと考えられます。
ましてや、どこの証券会社か分からない、という状態で探索的網羅的に調査嘱託を申し出ても、応じてくれないかと思われます。
別居を開始するという事は、基本的にそれ以降は相手方の任意の開示を受けない限り、証拠を入手することが
困難と言えますので、証拠を入手するチャンスは別居開始までと考えて、違法とならない範囲で証拠を入手した上で(例えば、郵便物で○○証券からの封筒が毎月送られてくる、
という場合にこれを写真に撮っておくなど)、別居されることも検討される必要がある場合があります。
その他にも別居を開始するに際し、注意すべき点が考えられますが、別の稿で述べます。
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