不当に事業所得が低い場合の婚姻費用、養育費の考え方について
離婚までの間の生活費である婚姻費用、離婚後の子の生活費である養育費を定めるに際し、
しばしば、夫婦の収入をいくらと見るのか、というレベルから争いとなることがあります。
特に、事業者の場合、確定申告における所得が操作されて低く設定されていることがあり、
実際の収入はもっと多いのではないか、という形で争われることがあります。
この点、実務では、原則としてはやはり確定申告の結果から見ることとなり、
これよりも収入がある、という事を、主張する側で立証する必要があります。
もっとも、実際の収入がいくらであるのかについては、売上や経費の実資料を入手する必要があり、
相手方がこれを管理している場合に開示を求めても、任意に開示しない事があります。
ただし、確定申告の結果では説明がつかないような、これとは矛盾する事実を主張、立証する事で、
確定申告の結果を用いずに、統計上の平均賃金(賃金センサス)を用いて収入を認定する場合も存在します。
大阪高裁平成20年10月22日決定は、事業収入約1318万円、事業所得約343万円の事業者につき、
10年にわたし、確定申告上の事業所得を大幅に上回る生活費、住宅ローンの支払いをしており、その支払額は
確定申告書記載の所得の3倍程度であった事案について、「各年度の確定申告の正確性については著しく疑問を
抱かざるを得ず、そうすると、平成19年の確定申告にも同様の疑念があるというべきであるから、抗告人(婚姻費用義務者)
の収入が上記の事業所得の額にとどまるとは到底認められない。」とし、その上で、他に収入を認める証拠がないことから、
賃金センサスを用いて収入を推認しています。
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