調停時の注意点
調停は、裁判所を利用した話し合いの1つであり、離婚事件の場合、
訴訟をいきなり起こす事はできず、まず調停を経る必要があります。
調停では調停委員2名が当事者双方の主張をきき、合意点を探ります。
調停委員の背後には裁判官がいるため、ある程度は法律に則った解決が期待できます。
しかし、調停とはいえ、裁判所を利用した手続ですので、裁判所がどちらか一方に肩入れする事が
できません。
また、訴訟ではないため、法的な通りやすさや立証の程度などをあま ...
よくある誤解-養育費の減額
養育費を取り決めるにあたり、義務者が再婚し、新たに子が出来た場合、
権利者の養育費に影響する、という解説がなされることがあります。
これは、元々の子と離婚後に新たに再婚相手との間で子が出来た場合に、
子2人の間に扶養義務の優劣がない、という事によります。
では、義務者が再婚したのみの場合には、養育費の額に影響しないのでしょうか。
この点は、大阪家庭裁判所作成のQ&Aによると、義務者が再婚した場合、新たな配偶者に対する
扶養義務が発生する事を前提に、権 ...
日弁連の婚姻費用・養育費の新算定表について
日本弁護士連合会は、平成28年11月に、
「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」を公表しております。
新算定表と呼ばれており、内容的には、裁判所で従来から使われている算定表よりも、義務者の
支払うべき金額が大幅に上がる内容となっております。
この点については、上記提言がなされてからも、裁判所の調停で使われている算定表は、
現在も従来のままであり、今のところ、新算定表を採用しようという動きは裁判所にないものと
見られております。 ...
よくある誤解ー審判前の保全処分
離婚調停では、離婚の他、財産分与などを取り決めるのが通常ですが、
調停を行い、結論が出るまでの間に、例えば相手方が夫婦財産を移転してしまう危険がある場合に、
保全処分を申し立てることが考えられます。
この点、審判前の保全処分は法律が改正される前は、調停段階では利用できず、審判を申し立ててからでなくては
利用することができませんでした。
しかし、法律が改正され、家事事件手続法となった現在では、財産分与請求権などを保全するために、
審判前の保全処分を調停 ...
年金分割でよくある誤解
離婚を行う際に、相手方が厚生年金等をかけている「第2号被保険者」の場合に、
年金分割を請求することが多いかと思われます。
この年金分割には、請求する側が第2号被保険者の被扶養者である「第3号被保険者」の場合に
利用される「3号分割」という方法があります。
この場合には、合意等は不要であり、請求すると当然に分割されるため、調停等は不要となります。
分割の際の按分割合は0.5のみとなります。
これに対して、分割の際の按分割合を、当事者の合意で決める「合意 ...
示談と調停のどちらを選択すべきかについて
日本では、離婚に争いがある場合でも、いきなり訴訟を行うことは出来ず、
まずは調停を起こさなくてはならない、とされております。
他方で、調停から始めるのか、調停の前に示談を行うかについては、自由とされています。
では、示談から始めるのと、調停で始めるのとではどちらがよいのでしょうか。
当事務所では、経験上、「急がば回れ」で、「調停から始める事がよい事が多い」と考えております。
依頼を受ける弁護士にとっては、示談よりも調停の方が手間がかかる事が多いですが、
当事務所で ...
財産の開示に応じてくれない場合-調査嘱託の利用
相手方が財産を管理しており、残高がいくらか分からない、などと事があり得ます。
この点、ご自身の名義のものであれば、通帳の再発行や残高証明などをご自身で取得可能です。
しかし、相手方名義のものについては、相手方の承諾がなければ、入手できないという問題があります。
この点、離婚調停・訴訟では、相手方名義の財産が存在するにもかかわらず、相手方が開示を拒絶した場合、
裁判所を通じた「調査嘱託」を申し立てる事で、資料の入手が可能となる場合があります。
ご自身のケースで、財 ...
婚姻費用、養育費算定における自営業者の収入
婚姻費用や養育費の算定を行う際、夫婦の収入を認定する必要があります。
この点、自営業者の場合、(税務署の受付印のある)確定申告書の課税所得を見るのが基本という事となりますが、
実際に支出していない金額、例えば「青色申告特別控除」や実際には支払われていない「専従者給与」等は
控除せずに考えることとなります。
減価償却費については、実際にはその年に費用負担していないではないか、という問題がありますが、
適正な減価償却費であれば、各年度の必要経費として控除する一方、事 ...
外国人配偶者との離婚
外国人と結婚している場合、①離婚手続をどこで起こす必要があるか(管轄)、②どこの法律に基づき
離婚を取り決めることになるか(準拠法)の2つが問題となります。
①については、最高裁は日本の裁判所に調停・訴訟の管轄を認めるためには、原則としてその外国人の住所が
日本にある必要があるとしています。もっとも、その外国人に遺棄された場合やその外国人が行方不明である場合等には、
日本での裁判管轄を認める考え方をとっています。
①で日本に裁判管轄がある場合、離婚について、外国 ...
子の面会交流と強制執行(子が面会を拒絶した場合)
調停や審判において、子との面会交流の日時、各回の面会交流の時間の長さ、
子の引き渡し方法等について具体的に定められているケースでは、
子を監護している監護親が非監護親と子との面会を拒絶した場合に、非監護親は強制執行を申し立てる事ができます。
もっとも、この場合の強制執行は、子との面会が対象であるため、
執行官が子を強制的に連れてくるという手続ではなく、監護親に対して、面会させなかった場合に1回当たり
数万円の金銭を支払うよう命じる形で、強制力を働かせる「間接強制」という形式が ...