婚姻前から有している財産と財産分与対象性
離婚を成立させる際に、合わせて夫婦の実質的な共有財産を
分け合う財産分与についても取り決めを行うことが多いことはご承知の事かと思われます。
この点、離婚調停や訴訟では、婚姻前から有していた財産について、
財産分与の対象に含めるのか否かが問題になる事がしばしば存在します。
例えば、婚姻前から定期積金を行い、婚姻後も月々の積み金を継続したり、
婚姻前から勤務し、婚姻後も勤務を継続している勤務先の退職金が離婚時の財産分与の対象となることは
おわかりいただけ ...
婚姻費用分担審判の申立後に、当事者が離婚した場合に婚費請求権は消滅するか
離婚調停等を行う際には、離婚成立までの間の生活費である婚姻費用分担請求の調停、審判も
別途なされることが多いです。
しかし、場合によっては、婚姻費用分担請求の調停、審判がまとまるよりも前に、
離婚調停等が決まる事も、無い訳ではありません。
それでは、このように、離婚が成立した以上、婚姻費用分担請求権は消滅して
婚姻費用の審判の対象から無くなり、判断できなくなるのでしょうか。
この点、近時の最高裁判所の判例(令和2年1月23日)は、
「民法760条に基づ ...
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緊急事態宣言解除後の裁判所のコロナ対策について
緊急事態宣言中は、裁判所は、保全手続や人身保護請求などの緊急性の高い手続をのぞき、
期日を取消し、状況が収まった段階で追って指定するという形を取っていました。
このため、離婚調停や離婚訴訟なども例外ではなく、既に指定された期日は取り消され、これから指定するものについては、
指定が保留されていました。
緊急事態宣言解除後は、係属している事件であれば古いものから、新しく申し立てられた事件も古い順から
期日指定を行い、既に離婚調停や離婚訴訟の期日が多数実施されております。 ...
専用財産は離婚時の財産分与の対象財産となるか
夫婦の財産の中には、どちらか一方が専用で用いられているものがあります。
例えば、宝石などが考えられます。
夫婦が離婚する場合に、専用財産は財産分与の対象に含まれるのでしょうか。
この点、名古屋家庭裁判所平成10・6・26審判は、合計購入価格が約110万円の宝石類につき、
「これら宝石類は、社会通念に従えば申立人の専用品と見られることから、
申立人の特有財産であるというべきであり、したがって、本件財産分与の対象とは
ならない。」旨判示しています。
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離婚成立までの間に、夫婦の他方に自宅建物の明渡を求めることができるか
離婚の協議や調停等を行っている間、夫婦が同居している場合、別居している場合のどちらも
あるかと思われます。この場合に、不動産を売却したい、あるいは自分だけで住みたいと考えて、
離婚成立の前の段階から、夫婦の他方配偶者に明渡を求めることができるのでしょうか。
この点、不動産が夫婦の共有名義となっている場合、共有持分を双方が持っている以上、権原がある事となり、
離婚時の財産分与で不動産を単独取得する等しない限り、明渡を求めることができないことは
明らかです。
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緊急事態宣言解除に伴う裁判所の対応
既にご承知の方もおられるかと思われますが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言にともない、
裁判所は自主的に業務の縮小を行っていました。
具体的には、人身保護請求や保全請求などの緊急性の高い事案を除いて、離婚調停や訴訟も含め、
既に指定されている期日を取消し、これから申立がなされるものについても、期日の指定を相当先にするなどの
対応を取っていました。
今般、兵庫県が緊急事態宣言の解除対象となったことから、神戸家庭裁判所(姫路支部等の支部を含む)は、
①期日の取消を ...
相手方から約束通り支払を受けられない場合の措置について
離婚時には、財産分与、慰謝料、養育費などさまざまな支払について
取り決めがなされます。
この点、協議離婚や調停離婚の場合で、合意成立時に同時に財産分与等金銭の支払を受ける場合、
支払を受けられなくなるリスクを考える必要は少ないこととなりますが、財産分与や慰謝料等がある程度
まとまった金額となる場合、合意成立時から1か月以内に支払うなどの条件となることが多いです。
また、養育費については、特段の合意がないかぎり、原則として月々支払われるものです。
更に、訴訟で離婚が ...
続・新型コロナウイルスによる調停等への影響
新型コロナウイルスにより、種々の休業要請がなされているとことですが、司法は要請の対象外となっており、
裁判所が独自に判断を行っております。
神戸家庭裁判所は、5月29日までに指定されている調停、審判等の期日を、緊急性の認められる事案でない限り、
取り消す対応を行っております。本庁だけでなく、姫路支部等の各支部も同様となっております。
緊急性の認められないケースであっても、一律に取消とすることは行きすぎであるとも考えられますが、
成立させるためだけの調停についてな ...
続・新型コロナウイルスによる裁判所の手続の影響と対応の仕方
新聞等で報道されておりご存じの方もおられるかもしれませんが、
新型コロナウイルスにより、保全手続や人身保護請求などの緊急性の高い事件以外については、
期日が取り消され、延期となっております。
緊急事態宣言が5月末までに延長されたことに伴い、5月8日の現段階では、姫路支部の場合、
5月14日までの期日は上記緊急性の高い事件を除き、全て取消となっているようであり。
それ以降については、状況を見ながら決定するとの方向性のようです。
これから離婚等を進めてい ...