調停時の注意-⑤調停前置が不要な場合
離婚調停や婚姻費用分担調停などを申し立てる際の注意点について
ここでも解説いたします。
調停時の注意-③において、お話したとおり、日本の裁判所の家事事件には「調停前置主義」の適用があり、
離婚等を求める場合、最初から訴訟等を申し立てることは原則としてできず、
まずは調停を申し立てる必要があり、いきなり訴訟等を申し立てても、裁判所は「付調停」の
決定を行い、調停手続に移す対応を取る事となります。
では、いかなる場合でも「調停前置」をとらなければならず、 ...
調停時の注意-④ 送達方法について
離婚調停や婚姻費用分担調停などを申し立てる場合の注意点を
ここでも解説いたします。
離婚調停や婚姻費用分担調停を申し立てると、裁判所が申立書や附属書類をチェックし、
申立人側と裁判所で第1回調停期日を調整し、これにより確定した日を第1回調停期日として通知を
相手に行います。この際、申立書の副本なども同封されます。
裁判所から相手方への通知は、「特別送達」といい、送達の事実を記録に残すため、
郵便配達員が直接、交付するか、不在の場合には不在票が入るので ...
調停時の注意-③事件の個数、証拠の提出の仕方
離婚調停等を申し立てる際の注意点について引き続き解説いたします。
離婚調停を起こす際には、これと合わせて婚姻費用分担調停や面会交流調停を起こされる方も
多いかと思われます。
申立てが複数になっている事からもおわかりいただけるように、離婚調停と婚姻費用分担調停、面会交流調停はそれぞれ
全く別の事件であり、同時の申し立てた場合であっても、裁判所はそれぞれ別の事件番号をつけ、別々に記録を管理することと
なります。
実際の取り扱いとしては、当事者が同じで離婚 ...
調停時の注意点-②調停前置主義-調停を前置したと言えるか否か
離婚や離婚成立までの間の生活費である婚姻費用、離婚後の養育費等の事件については、
法律上、まず訴訟等ではなく調停を申し立てる必要があるのが原則です。
これを「調停前置主義」と言います(厳密には、離婚事件と異なり、婚姻費用分担や養育費請求事件等については、
調停を前置しなければならない旨、規定されている訳ではないのですが、最初から審判を申し立てられた場合に、裁判所が
職権で調停に付することができる旨の規定があり、調停前置主義的に裁判所は運用を行っており、まずは調停を申し立てるよう求めています。)。 ...
調停時の注意点-①管轄、移送について
離婚調停や離婚成立までの間の生活費である婚姻費用分担調停等を
申し立てるに当たっての注意点をここでは解説いたします。
離婚調停や婚姻費用分担調停を申し立てる場合、どこに申し立てることに
なるのでしょうか。
この点は、民事訴訟、調停の基本は、相手方の住所を管轄する裁判所となるのが原則であるのと
同様、離婚調停や婚姻費用分担調停の管轄も、相手方の住所を管轄する家庭裁判所(家事事件であるため、地方裁判所ではなく、家庭裁判所)となり、
申立人側の住所を管轄する家庭裁判所に ...
離婚の際の別居に際し、注意すべき点⑬ 相手方からの暴力・脅迫等への対処-ストーカー規制法
離婚の協議や調停等を行う際の別居に当たって注意すべき点を
ここでも解説いたします。
前回は、相手方から暴力、脅迫がある場合に、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する
法律」(通称:DV防止法)を用いて、裁判所に保護命令を求め、命令に違反した場合に刑事罰の対象とすることで
抑止力を働かせる、という方法を解説いたしました。
しかし、この制度の利用には、既に配偶者から、生命、身体に対する暴力やかかる危害を加える旨の脅迫がある事を
要件としており、まだ暴力や脅 ...
離婚の際の別居に際し、注意すべき点⑫ー相手方の暴力、脅迫への対処(DV防止法)
今回も、離婚協議、調停等の手続を進めるに当たって、
別居される場合の注意点について解説いたします。
離婚の話をすると、相手方が激高して暴力や脅迫を行うおそれがある、という場合、
別居した上で、弁護士を代理人として離婚協議をするか、離婚調停を起こす必要性が特に高いです。
通常は、代理人として弁護士が通知を出すと、
弁護士が既についており、しかもこれから裁判所の調停を起こす、あるいは
既に係属しているにもかかわらず、騒ぎ立てると自分に不利になるのではない ...
離婚の際の別居に際し、注意すべき点⑪-児童手当
ここでも、離婚協議や調停を行うに当たって、別居を行う場合の注意点について
解説します。
夫婦間にお子さんがおられ、別居に当たってお子さんを連れて出られる場合の注意点については
既に解説した通りですが、この場合の児童手当についてはどうすればよいのでしょうか。
児童手当が設けられている趣旨は、現に子を監護養育している子の親に手当を支給することで、
監護養育に充ててもらう点にあります。この事は、毎年、現況報告書を提出し、同居・別居の別や子と
生計が同一かど ...
離婚の際の別居に際し、注意すべき点⑩ 年金分割に影響するか?
離婚の調停や協議を行うに際し、別居を行った上で手続を
行う方は多いかと思われます。
ここでは引き続き、離婚の際の別居に当たって注意すべき点を解説いたします。
離婚を行うに当たって、財産分与や年金分割を合わせて求められる方は多いかと思います。
この点、離婚時の財産分与を行うに当たり、対象となる財産の価値は、離婚に向けた別居(単なる単身赴任等を除きます。)
を開始した時点となるのが原則となる事は、ご存知の方も多いかと思われます。
それでは、年金分割につい ...
離婚の際の別居を行うに際し、注意すべき点⑨ 子の意思
離婚の協議や調停を行うに際し、別居を行った上で手続を進められる方は
多いかと思われます。ここでは、引き続き、離婚に伴う別居を行うに際し、
注意すべき点を解説いたします。
お子さんがいる場合に、別居を進めるに当たって、子を連れで出られる方もおられるかと
思いますが、「違法な連れ去り」と評価されないよう注意が必要であることは、既に述べた通りです。
しかし、注意すべき点は、違法な連れ去りだけにとどまりません。
そもそもの問題として、お子さんがある程度の年齢 ...